第310話正月に寺にこもりたるは(3)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
屋敷の奥の方にも、あるいは表の方にも、出入りをしている若い男たちや、一族の若い男たちが、数多く連れ立って御堂に入ります。
「そこのすぐ近くに、床が下がっている場所があります」
「ああ、そっちは高くなっています」
などと、事故のないように、教えながら歩いていきます。
いったい、どんなお方なのでしょうか。
女主人にすごく近い位置で歩いたり、先を追い越して行く人を見ると、その従者に
「少しお待ちなさない、身分の高い人がここにおられるのです。無礼なことは、なさらないように」
などとたしなめ、さすがに場所をわきまえている人もいます。
ただ、そういうことは全く気にしないのか、我先に御仏の御前にということで、先を追い越していく人もいます。
局に入る前の間であっても、大勢の人が並んでいる前を通って入るのならば、本当に不愉快にもなるけれど、犬ふさぎの内側の内陣を目にした時は、本当に御仏のありがたさを身にしみて尊く感じます。
そして、どうして、数ヶ月も、この場所に詣でなかったのか、まずは信仰の心が強く沸き起こってくる。
正月に寺にこもりたるは(4)に続く。
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