第308話正月に寺にこもりたるは(1)

清少納言先生:今日から正月に寺にこもりたるはのお話になります。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


正月に、寺に参籠する場合は、本当に寒く、雪がやんだと思ったら再び降り出すくらいに、冷え冷えとしているくらいがよいと思います。

その雪が雨に変わるなどの天候は、まったく面白みがありません。

清水寺に参籠するということになって、局の準備をしていた時に、呉橋の近くに車を寄せておりました。

すると、若い坊さんたちが帯だけを結んだ略装で、足駄という物を履いて、足を滑らせるような不安がないのか、呉橋を下り上りします。

特にこういう場合にという意味で定められたということではない経の一部をブツブツと唱えながら、例えば倶舎の頭を諳んじたりして歩いて行くのは、本当に魅力があります。

私などが呉橋を上る時は、本当に冷や冷やもので、端近くに寄って高欄にしっかりつかまり上るのに、僧たちはまるで平らな板の間を歩くようで、怖れる様子が全く無く、それも魅力があるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :足駄は高下駄のようなものですね。

清少納言先生:はい、私が高欄につかまりながらなのに、平気でそういうものを履いて歩くものですから、うらやましいほどです。

舞夢    :それにしても、寒いのが好きなんですか?

清少納言先生:身も心も引き締める、修行ですもの。


・・・たしなめられてしまった。

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