第188話返る年の二月廿日より(7)

中宮様は

「仲忠、涼のお話よりは、昼間に訪ねてきた斉信のことの方が気にかかります」

「清少納言としては、どれほど感激したのだろうかとね、本当に思いました」とおっしゃられます。

他の女房たちも

「私どもも、お見かけいたしまして、本当にいつもより増して、素敵でしたよ」

などと言うのです。

私(清少納言)は

「そうですね、まずは斉信様の素晴らしさを申し上げようと思ったのですが、、物語のお話になっておりましたので」ということで、先ほど局に立ち寄られた際の斉信様のご様子をお話いたしました。

女房たちは

「私たちだって、お見かけしたのに、清少納言様のように縫った糸や針目まで細かい観察をした人はいません」と笑っています。


返る年の二月廿日より(8)に続く。

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