第112話職の御曹司(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


私が、

「それほどお急ぎでしたら、他の女房が中宮様の許におりますでしょう」と、言うのですが、行成様は私の言葉をお聞きにならない。

「その時々の状況で、前もって定めずに、対応するほうが良いというのが普通ですよ」

と、おせっかいをやくのですが

行成様は、「これが私の性格なんです」「変えようとしても変えられないのが性格です」とおっしゃります。

私が

「『過ちては即ち改むるに憚ることなかれ』との孔子様のお言葉はどういう意味でしょうねえ」

と文句を言うのですが、

行成様は笑いながら、

「仲良しだと言われている私たちではないですか、こうして信じあってお話しているんですから、恥ずかしがらずにお顔を見せていただけませんか」

などと言われます。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :わかりやすく、生々しい会話ですね。

清少納言先生:そんなことを行成様に言われてもねえ・・・私にも恥じらいがありますよ。

舞夢    :駆け引きですね、面白いです。


相当の懇意だったのだろう。

微笑ましいというか、清少納言の微妙な気持ちにも触れることができた。

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