第87話花の木ならぬは(5)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
白樫という木は、他の木とは比較にならない程、深い山の木々の中にあり、特に人里からは離れた所に生えている。
三位、二位の袍を染める時に、珍しくその葉を見るぐらいなので、関心を持つとか観賞する木ではないけれど、全体の雰囲気が雪が積もったと思われてしまいます。
素戔嗚尊が出雲にいらしたことを偲び、人丸が詠んだ歌を思い出すと、本当に感極まる。
そういう機会があり、少しでも感動したり、興味を持ちその話を聞いたものについては、草、木、鳥、虫のことであっても、おろそかにしてはいけないと思う。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :白樫は日本原生の照葉樹ですね。
清少納言先生:「古事記」の倭健命の条に「畳薦 平群の山の 白樫の葉を ウズに挿せ その子」とありますが、葉が小さくて葉の裏が白いので白樫と言うらしいです。
舞夢 :三位、二位の袍とは?
清少納言先生:元々は紫絁だったのですが、最近は黒色になって樫の葉で染めるようになりました。
舞夢 :素戔嗚尊と人丸の歌について教えてください。
清少納言先生:「足引きの 山辺暗しと 山かしの 枝もたわわに 雪のふれれば」からです。つまり大雪が降ったように白樫の木が暗い山道を照らしてくれる」と言う意味で、素戔嗚尊の出雲の山歩きを歌っています、それはそれで興味深いのです。
思いのまま、人にかまわず、感ずるままに書き続ける清少納言先生である。
当時の第一線級の教養人の想いを、そのまま書いている。
時に、学術的ではないと、清少納言先生を批判し、揚げ足を取る後代の学者もいるけれど、清少納言先生の生きている時代に、彼女が知りうる全ての知識を総動員して書いた草子である。
簡単に、批判の対象とするのは、いかがなものか。
自動車が普及している現代の人が、自動車などなかった古代の人を貶めることは、適当なのだろうか。
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