第26話清涼殿の丑寅の隅の(7)

清少納言先生:それでは、最後までお願いします。

舞夢    :はい、了解しました。


お休みになって、かなり時間が経ちましたけれど、村上帝は起きて来られ、「やはり、決着をつけないといけないでしょう、すこぶる具合が悪い」などとおっしゃられ、古今集の第十一巻以下を「明日にすると。他の写本を見て確かめるかもしれない」とも、仰せられます。

「今日の中に、決着をつけましょう」と大殿油を近くに寄せられ、夜が更けるまでに、お読みになりました。

しかし、結局、女御は間違えることもなく、最後の歌になりました。

その後、村上帝は、女御の父左大臣邸に、報告の使いをお出しになりました。

父大臣殿は、「女御がどれくらい、古今の歌を学んでいるか、試されている」との話をお聞きになり、本当に驚き、御所の方角に向かい、終日御誦経をなされたとのことです。

本当に風雅で、しみじみとしたことです。

中宮様が、そんなお話をなさると、今の一条帝もお聞きになっていらっしゃる。

一条帝は

「私なら、三、四巻でも、最後まで尋ねることはできないだろうなあ」と、おっしゃられる。

「昔は、専門の歌人でなくても、皆、魅力にあふれていた。最近はこのような話を聞くことがありますか」など、帝に近侍する方たちも、その方たちの中で中宮様へのお目通りが許されている方たちが、中宮様の前で、様々な話題を申し上げている時など、本当に平穏で素晴らしいと思います。


清少納言先生:はい、長く、お疲れさまです。

舞夢    :痛み入ります。

清少納言先生:プッ(笑)

舞夢    :苦しんでいるのを、楽しんでみていたとか・・・

清少納言先生:ああ、いえいえ、時代も違いますし、生活環境も違います。

舞夢    :まあ、でも、これが当時の教育なんですね。

清少納言先生:うん、古今に代表される和歌を通じ、人の心や詩情を学ぶ

       それと、様々異なる人の心を知り、現実に冷静に立ち向かう・・

       古今集の全歌を諳んじることで、教養と知性を育てる。


長い文だったけれど、清少納言先生は、拙い訳を我慢して聞いてくれた。

時代が異なり消えてしまったものも多いけれど、それでも脈々と血肉に残っているものががある。


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