第16話正月一日、三月三日は
清少納言先生:はい、うって変わって短くなりますが、現代語とやらに。
舞夢 :了解しました。
正月一日と、三月三日は、ほんとうに、うららかな日和が好き。
五月五日の場合は、一日中曇りがいいかな。
七月七日は、日中は曇りで、夕方からは晴れ、その空に月が明るく輝いていて、星も一つ一つ数えられるくらいが、きれい。
九月九日は、まず、夜明けから雨が少し降ることが大切です。
それで菊に露もたっぷりと乗り、その菊にかぶせた着せ綿にも、たっぷりと水分を含まれます。
それで、菊の花の移り香も、一段と際立つのです。
朝早く、その雨が止んだにしても、まだ空はどんより曇り、また降りだしそうな空模様も、なかなか風情があります。
清少納言先生:ふむふむ、だいたいかなあ、ちょっとガチガチかなあ。
舞夢 :なかなか、最初五月ぐらいは、何とかですが・・・
清少納言先生:季節と言うか、暦が違いますよね、それかなあ。
舞夢 :一月一日は、だいたい一月二八日頃、三月三日は、三月三十日頃。
なんとか、わかります。
五月五日は、五月三十日頃。
閏月もありますけれど、今年の七月七日は八月二八日。
九月九日は十月二十八日になります。
清少納言先生:へえ、それほど違うんですねえ・・・
舞夢 :一月は寒いお正月よりは、うららかなお正月がいいですし。
三月三日は、桜の時期、これも納得できます。
清少納言先生:五月は菖蒲の節句だから、五日だと早すぎますね。
それでもね、当時家々の屋根に菖蒲を葺いたものです。
舞夢 :そうなると、大量の菖蒲が必要ですね。
清少納言先生:七月もねえ、七夕の節句なので、日中はなるべく涼しくして夜空に
月とか星だね、それがきれい。
舞夢 :九月の九日は、長陽の節句、菊の節句ですね。
清少納言先生:菊の露はね、九月八日の夕方に菊に綿をまず、かぶせます。
次の九日に、露をたっぷり含んで菊の香もたっぷりの綿でね、身をぬ
ぐうの。
そうすると老化が防げ、若返るって言い伝えがあります。
舞夢 :それで、みんな若返って全員で宴をするんですか?
清少納言先生:詩会とかやったね、氷魚とか菊酒をいただきました。
舞夢 :先生は、お若いから、菊などいらなかったのでは?
清少納言先生:ああ、いらなかったけれど、みんながやっていたし・・・
舞夢 :それにしても、曇りの魅力ですね、珍しい記述です。
清少納言先生:ああ、ちゃんと見ていれば、しっかり、その美しさ、わかります。
新暦、旧暦の違いが、古文解釈上、相当大きい。
特に自然の植物など、季節が違えば、見た目も全て異なる。
特に枕草子とか源氏のような感性が研ぎ澄まされた古文を読む場合、新暦旧暦対称表は必携となる。
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