小説家になるための本

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感想

2015


・スターバト・マーテル ティツィアーノ・スカルパ 河出書房 (~2/14)

 孤児院の若い娘が主人公。母親に対して、孤児院の中の出来事を書き綴る。

 音楽に目覚める話


・素数たちの孤独 パオロ・ジョルダーノ 早川書房(~2/20)

 アリーチェとマッティアの物語。アリーチェは幼いころスキーの事故で片足が不自由になり、マッティアは双子の妹を置き去りにし、妹が行方不明になってしまう。アリーチェはスタイル維持のため、拒食症になり、マッティアは人を遠ざけ、自分の手を傷つけるようになる。同じ高校で出会い、知り合い、仲を深める。マッティアが北欧に職が決まり、そのことを告げると、アリーチェはファビオのことを話す。その後二人は別れ、数年後、アリーチェがミケーラに似た人を見つけ、手紙を送り、マッティアが帰ってきて再会する。しかし、お互いに別の道を進むことを決意する。


・ノルウェイの森 上 村上春樹

 寮に入る主人公。直子と再会し、一夜を共にするが、直子は療養所へ行く。主人公は直子の療養所を訪れる。


・悲しみよ こんにちは フランソワーズ・サガン 新潮文庫 (~3/12)

 父とアンヌ、主人公とシリルの恋模様を描く。全体的に主人公の心理描写が多く、若干読みにくかった。全体的に意味もよくわからなかった。


・ノルウェイの森 下 村上春樹 (~3/12)

 療養所から戻り、緑と過ごし、直子とは手紙のやりとりをする。数年後直子は死に、主人公は一か月間旅に出る。レイコさんが東京に来て、主人公の家で一夜を共にする。その後二人は別れ、緑と電話する。

 作品中のエピソードなどおもしろさが散りばめられていて、登場人物のせりふにも内面的なことが多く、リアリティがあった。


・1973年のピンボール 村上春樹 (3/14~3/16)

 翻訳事務所で働きながら家ではどこからか来た双子の面倒を見て、最後にピンボールと再会する話。


・性的人間 大江健三郎(3/31~4/9)

 集団で田舎の別荘に行き、そこで性的に開放された生活を送り、地元の少年にのぞき見され、その後、痴漢青年とJが出会った話になり、自分は最後には順応主義者と生きていくことになるが、電車に乗り込み痴漢をして、つかまる「性的人間」。人の目を気にする少年が右翼団体に入り、天皇を崇拝する「セヴンティーン」。サルに囲まれ四六時中見られる生活に嫌気がさした青年が商会のトイレでのぞき見していたと言われ、病院送りになり、最後は強迫神経症による妄想だったという「共同生活」。


・乳と卵 川上未映子(4/18~4/19)

 「乳と卵」は小学生の緑子とその親の四十歳のホステスの巻子が東京に豊胸手術を受けるためにやってきて、主人公の家に泊まる話。緑子は生理を迎えることを考えていて、主人公は巻子が豊胸手術を受けることについて考えて、巻子は自分が豊胸手術を受けることを考えている。巻子がいなくなり元夫に会いに行った帰り、家に着くと、それまで巻子と筆談しかしなかった緑子は卵を頭にぶつけて割り、みんな生まれてこなければよかったという。巻子も卵を頭にぶつけて卵まみれになる話。最後の緑子のセリフが印象に残った。生きるのって大変なんだなと思った。短篇の「あなたたちの恋愛は瀕死」は知らない男と性交したい化粧品好きな女がティッシュ配りの男に話しかけ殴られる話。


・限りなく透明に近いブルー 村上龍(~4/26)

 腐敗したものが散乱し、ゴキブリや虫のいるアパートに暮らす主人公と男女は薬をやっていて、パーティーで黒人たちと性的な関係を持つなど退廃的な生活を送る。暴力またはグロテスクな描写がある。最後部屋の中で主人公は自分が空っぽだというのが印象的で、おそらくこの小説のエッセンスだと思った。


・海辺のカフカ 上 村上春樹(~4/29)

 家出をして東京から四国へ行き、そこで図書館で暮らすことになる少年の話。戦時下の山梨で集団で子供たちが気を失う話。猫と話すことができるナカタさんがジョニー・ウォーカーを殺し、四国へ向かう話。家出少年の話の部分がおもしろかった。


・海辺のカフカ 下 村上春樹(~5/9)

 ナカタさんは星野さんと一緒に高松まで行き、そこで石の入り口を開けたり、甲村図書館に行ったり、死んだり、星野さんがナカタさんから出てきたものを殺したりした。少年は佐伯さんの幽霊と会い、佐伯さんと寝て、佐伯さんは死に、山の中で佐伯さんの少女と会い、佐伯さんと会い、帰ってきて、東京に戻る決意をする。深い意味があるようでない気がした。思わせぶりな描写が多い。


・罪と罰 上 ドストエフスキー 新潮社 (~5/14)

 ラスコーリニコフは金貸しの老婆を殺し、病人になり、ルージンやソーニャと会い、最後のほうでポルフィーリと会う。老婆を殺すところに引き込まれた。


・罪と罰 下 ドストエフスキー 新潮社 (~7/12)

 刑事との駆け引きや葛藤から、ソーニャに告白し、スヴィドリガイロフに聞かれ、最後に自白しに行くが、スヴィドリガイロフが自殺したと聞き、引き返すがソーニャを見て、自白する。最後のクライマックスに引き込まれた。

 

・九年前の祈り (九年前の祈りのみ)

 主人公のさねえはミミズのようにのたうちまわる一人の男の子を育てながら地元の島へ行き、外国人の元夫と島に来た外国人と村のおばさんたちとの旅行を回想し、その中の一人のおばさんも自分と同じような境遇にいたことを感じる。


・人間失格 太宰治(7/29~7/30)

 葉蔵は小さい頃から周りの人間とは違うという感覚を持っていて、そのことに恐怖を感じ、また家族を含め周囲の人間たちをも恐怖し、道化によって人とつながろうとする。学校ではお茶目なやつとしてやっていたが、竹一にわざとやっていることを見抜かれ、恐怖する。その後共産主義団体に入り、そこで忙しくなり、女と自殺未遂をし、女だけ死んでつかまる。ひらめの家に居候になり肩身の狭い思いをし、偶然出会った女の家に居座ることになるが、酒におぼれ逃げ出し、ツネ子と出会い、純粋なツネ子と結婚するが、ツネ子が男に犯され、薬物中毒になり、脳病院に入れられ出てきて田舎で療養生活をして、幕を閉じる。太宰の純粋さから周囲の人間が汚く見え、そこに恐怖を感じつつ、葛藤する様子が描かれていた。


・海に住む少女 シュペルヴィエル(~8/5)

 短編集。作者の相手を思いやるような純粋な感性が作品に反映されていて、また独特の世界感がある。


・雪国 川端康成 (~8/27)

芸者の駒子と主人公島村の話。島村は雪国へ行き、そこで駒子と出会う。最後の天の川の描写は圧巻。


・道化師の蝶 円城塔 (道化師の蝶のみ)

 視点の移り変わりのトリックと、友則友則を追い求め続けるのが小説の本質を追い求めることに類似しているかもしれない作品。


・愛の夢とか 川上未映子 (9/12 ~9/13)

 短編集。大切な家を売らなければならない、自分が死んで夫が他の女と結婚するなどの悩みや苦労などを中心に描かれた作品。


・神様 川上弘美 (9/14)

 くまの話。神様2011は神様の震災後バージョン。粋なくまと主人公のどこかほっこりとするやりとり。くまの神様ってどんなんだろうと考えて終わる。とても短い本。


・坊ちゃん 夏目漱石(~9/29)

 主人公が四国の中学の教師として23歳で赴任した話。中学には赤シャツや山嵐などの先生がいて、生徒に天ぷらそばを食べているところを見られ、翌日馬鹿にされたり、蚊帳にいなごを入れられたりするなど、卑怯な手を使われ怒りを感じ、また周りの教師のやり方にも卑怯さを感じている。山嵐とは仲が悪くなるが、仲直りし、喧嘩を阻止しようとしたところ、喧嘩に加勢したと新聞に書かれ、山嵐が免職になり、それが赤シャツによるものだった。赤シャツは人当たりがいいが、裏では工作をするなどし、女癖も悪く、最後宿から出てきた野だに主人公は卵を投げつけ、山嵐は赤シャツを殴る。二人はそこを船に乗り後にする。


・人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ (10/11)

 19歳のオレが39歳のユリとセックスをする関係になる話。美術学校に通っていたオレは講師のユリと出会い、アトリエに呼ばれるようになり、セックスをする。オレはユリの家にも行き、そこでユリの夫ともあう。ユリは学校をやめてしまい、ミャンマーに夫と一か月行ってしまい、帰ってきて少し連絡するが、ユリはオレを求めていないことを知り、連絡を取らなくなる。最後友達と花火をする。特に深い心理描写があるわけではないが、ところどころにセンスのよさを感じさせ、物語も物語になっていて読んでいておもしろい作品。


・掏摸 中村文則

 才能のあるスリ師が力のある人物と関わり無理な仕事を押し付けられ、できなければ殺すと言われる。なんとか仕事を達成したが、最後に何かで殺されそうになり、ポケットの中のコインを投げ助けをよぶ。


・ダンス・ダンス・ダンス 上 村上春樹

 北海道のイルカホテルに行く。そこでユミヨシさんと出会う。また13歳の少女のユキと出会う。娼婦のメイが殺される。


・恋愛小説 新潮社

 複数の作者が書いた恋愛小説。純文学、大衆文学ともに含まれている。


・ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹 下 (~11/23)

ユキとハワイに行く。キキに導かれ、白骨の置かれた部屋に行く。帰ってきて、ディック・ノースが死ぬ。五反田君がキキを殺したことを主人公が言って彼は自殺する。最後にユミヨシさんと寝る。羊男や殺人など、いろいろなことが起きるが最後にすべてが解決したわけではない。また純文学的な意味合いは少ない。娯楽小説ではないが、雰囲気は村上春樹らしくおもしろい。


・ニシノユキヒコの恋と冒険 (~11/25)

 モテる男ニシノユキヒコと何人もの女性たちの恋愛物語。短編集。それぞれの女性たちがニシノユキヒコと付き合ったり付き合わなかったりセックスしたりしなかったりしたが、女性たちの大部分はニシノユキヒコを愛し、ニシノユキヒコはあまり愛せないという感じ。最後のニシノユキヒコのセリフの「人生はどうしてとめどないの」と泣きながら言うセリフがよかった。


・走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹


・ノルウェイの森 上


・回転木馬のデッドヒート


・スプートニクの恋人 村上春樹 (~3/3)


・タイタンの妖女 カート・ヴォネガット(~3/17)

 時空を移動するラムファードと彼により理不尽な運命を背負わされるマラカイの話。


・ねじまき鳥クロニクル 第一部 泥棒かささぎ編 村上春樹(~4/6)

 三十歳の法律事務所をやめ無職の主人公と出版関係の妻。叔父の家に安くすみ、近くに住む少女とかつらのバイトをしたり、妻に猫探しを頼まれたり、変な電話がかかってきたり、加納姉妹と会ったり、最後に藤田さんの戦友の話を聞いたりする。戦友の戦争の話が残酷だったのでそもそも人生は大変なものだと思い印象に残った。


・ホフマンスタール詩集 岩波 (~4/9)


・ライ麦畑でつかまえて J・D サリンジャー(~4/15) 白水

 主人公ホールデンが学校を成績不良で退学になり、家まで帰るまでの話。途中で会う人々への不満が描写されていく。最後に妹が回転木馬に乗っているのを見て幸せを感じる。「ライ麦畑で遊んでいる子供たちが崖から落ちそうになるとき手をとってあげるような人になりたい」と妹に告げるのが印象的。


・日はまた昇る ヘミングウェイ 岩波(~5/7)

 失われた世代(青春時代を戦争で過ごした世代)の三十台の男と女の話。フランスに暮らし、スペインに釣りをしに行き、スペインの祭りに参加する。そこで闘牛を見て、十九の闘牛士にジェイクの友人のブレットが恋をし、駆け落ちする。最後にブレットは主人公ジェイクを呼び、ふたりで一緒にいることができたらどんなにいいかという。センチメンタルな感情を引き起こさせるような作品。アフィシオン(一時的な熱狂)をもっているかどうかなど、スペインの闘牛を見るときに使われた言葉などが印象にのこった。


・イェイツ詩集 岩波(~5/8)


・地獄の季節 ランボオ 小林秀雄訳 岩波 (~5/22)

「地獄の季節」と「飾画」からなる。「飾画」に関しては自伝的というか思ったことをそのまま書いた感じでわかりにくい。「地獄の季節」はこの世に対する絶望と別れをほのめかす内容になっている。言葉遣いが優れていると感じた。


・カラマーゾフの兄弟 第一巻 ドストエフスキー 岩波(~6/5)

 父のフョードル、長男のドミートリイ、次男のイヴァン、三男のアリョーシャの話。アリョーシャはゾシマ長老の僧院に行く。カラマーゾフ達は父が地主で物事の解決のため僧院を訪れる。ゾシマ長老は皆から崇拝されているがカラマーゾフの誰一人敬意を払わず、フョードルは長老を馬鹿にしたような冗談を話しはじめる。その後ドミートリイの婚約者の話や、ドミートリイとフョードルがグルーシェンカを巡って争ったり、アリョーシャがドミートリイが侮辱した貧しい大尉に金を渡しにいく。大尉はその金を踏みつぶし、プライドのため去っていくところで終わる。


・悪の華 ボードレール 岩波(~6/11)


・カラマーゾフの兄弟 第二巻 ドストエフスキー 岩波(~7/3)

 大審問官のところなど、イヴァンとアリョーシャの会話から始まり、長老の死やドミートリイの女を追いかけるところなど、優れたところが多い。


・神の子どもたちはみな踊る 村上春樹(~7/27)

地震のことがでてくる六つの短編集。


・ジニのパズル チェ・シル (~8/10)

 朝鮮学校に通う主人公が日本人からの差別、また体制に逆らわない朝鮮学校の人たちに立ち向かう話。 


・光あるうち光の中を歩め トルストイ 新潮(~8/14)

 放埓な生活を送る裕福な商人ユリウスと原始的キリスト教の生活をするパンフィウスの話。ユリウスは自身の贅沢だが心の満たされない生活から何度かキリスト教徒になろうとするが、医師の男に諭されやめる。最後に老人になったあとパンフィリウスのキリスト教徒のところへ行く。なんか貴族の贅沢の話で、正直それくらい満たされたら満足しろよと思った。


・カラマーゾフの兄弟 第三巻 ドストエフスキー 岩波(~8/16)

 ミーチャが下男を殺したと思い込み、グルーシェンカのもとへいき、そこでポーランド人とかけをして飲み明かすところに刑事がやってきて捕まる。父は殺されていて、下男は生きていたが、ミーチャは父殺しの嫌疑をかけられ、予審を受け、最後に拘置所に連れていかれるが、最後に自分の心は高潔だということを示し、感動的に馬車に乗って行ってしまう。コーリャという十三歳の少年とアリョーシャの話で終る。


・地下室の手記 ドストエフスキー 光文社(~8/17)

 地下室とぼた雪に寄せてからなる。主人公は自意識過剰で、自分が愚か者で醜いと思っているが、周りも主人公に対して見栄を張っているため、主人公もそれで癇癪を起してしまう。最後にリーゼが家にやってくるが、そこはロマンチックで主人公がおそらくリーゼに愛されていたが、主人公は自意識からリーゼを侮辱してしまう。周りの人間と主人公の見栄の違いはそれが自己に対して真実、誠実、正直というところだろう。

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