UMA探偵と世界の螺旋

人鳥暖炉

第一部:UMA探偵とヒュドラの再現

プロローグ 「人喰いミズコさんの話」

「人喰いミズコさんの話って知ってる?」

 ある日、友人の一人がそう尋ねてきた。

 それは、見るに堪えない化物の話。

 冷血無情にして冷酷無慈悲、人を殺して人を喰い、それに罪悪感一つ覚えない。見るも無残で目を覆いたくなる、そんなおぞましい物語。

「何それ?初めて聞いた」

 私は、何喰わぬ顔でそう応える。

 これまでずっとそうしてきたように、人の目を欺き、人の目を誤魔化し、何も知らないと見せかける。

 本当の私が、見えないように。

 誰にも私が、見えないように。

 そして、誰にも見えず聞こえない、心の中だけでこう応えるのだ。

 よく知ってるよ。何故なら、その人喰いの化物は、今、あなたの目の前にいる……

 ……私だ。

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