第46話昔も今も
さまようよろいは、言葉の選び方が稚拙で、やはり悪意だけで人を罵るのだとわかった。
なんであれ、付き合っていたこちらが馬鹿みたいである。
さまようよろいは言う。
「あんたはちっちゃい! ちっちゃいちっちゃい!! ちっちゃか!!!」
あのー、その台詞は恋人相手に発すると相手の男性は自信をなくすかみじめな気持ちになるだろう、下げマンのセリフだけど……わたくし女性なんだよね。
それにわたくしはちっちゃいのではない。発想のスケールはでかいし、愛情こまやかで繊細な心の持ち主だ。
むしろわたくしはいつも、さまようよろいは乙女チックにふるまうくせに毒舌家だし、人に大勢の前で恥をかかせる発言が多い、傲慢なモンスターだと思ってるよ。
でも教えてやらない。大勢傷つけてきただけあって、メイジにも嫌われているし、(なにせレベルアップの合同お祝い会に来て、さまようよろいから三メートルくらい距離を開けて席についていたくらい)家事手伝いに赴いた先で「なんでくるの?」
と
子供が仕送りをしてくれるのをあたりまえだと思っているし、我が家に来てからは勝手にキッチンに入り込んで窮屈なのに居座って、調理の手伝いのフリをする。
実際は水道水で手を濡らしたり、ホイミスライムのすることを見ているだけで、米の炊き方は最近覚えたらしいが、かわりにレンジの使い方をわすれたもよう。
それをさ、なに?
電気ジャーでごはん炊くのがそんなに偉いかい?
土鍋で炊いてみろってんだ。
全自動洗濯機も使い方を忘れたというから、もう、ボケが始まってるなと思う。
実は昔からなんだよ。さまようよろいの周りでは喧嘩が絶えない。ホイミスライムから月々5、6万ゴールドもらって家事をする。そのわりに質素な食事。我が家の食費をへそくりして溜め込んで実家へ帰ったのだ、たしか。
メイジが何かしたのか、口答えしたと言っては殴るけるしてとってもレベル72とは思えない大人気のなさだった。
そして我が家の物品を私物化するのがいただけない。
あー、早いとこ熊本の実家へ帰ってほしい。
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