第17話まどうしの語る沖縄集団自決

 戦中の沖縄の集団自決について。

 まどうしは言う。

「あれは、軍の命令だったということにしてくれと、国から金をもらって裁判で生き残りが証言したことだ。実際は村長と軍が会議して軍は「もうちょっと考えさせてほしい」と言ったのだと、そばで聞いていた女性が娘に遺言書を残している」

 はあ?

「その頃特攻隊が駆けつけて、村の人々と挨拶をかわすような親し気なムードだった。さく裂弾がどういうルートでああなったかは定かでないが、会議の話を聞いていた女性は「村長がくださいと言った」と遺言している」

 はああ?

 そこでわたくしはピイイン! ときて、インスピレーションが働いた。あくまでフィクションであることを念頭に置いておいて欲しい。

 軍から遣わされた特攻隊は、命令があればさく裂弾を持って敵陣に突っ込んでいった。その彼らと親しかったという村人が、加勢に行くと言って「ください」と言ったなら間接的に軍が関与したと言えなくもない……いや。この空想には無理がある。ならなぜ、集団自決などという極論に達したのだ。玉砕せよと言われて敵に突っ込んだのは特攻兵だ。村民は敵軍に下るのがただしい戦争の終わらせ方だったんではないのか?

 いや、戦争に正しいも間違いもない。それ自体が悪い事なのだ。悪徳だ。


 今夜……眠れるだろうか?


(眠れませんでした)

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