1冊目 進化論と旅立ち

進化論と旅立ち ①

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「キリンの首はどうしてあんなに長いのでしょう?」


 これは進化の話をするときによく使われる質問。


 そしてわたしはこの答えを知っている。

 で、こう教える。


「キリンは高い場所にある葉っぱを食べようと、一生懸命に首を伸ばしたからです」


 その答えに対して、


「先生、その答えは間違ってます!」


 と答えたのは、かのチャールズ・ダーウィンと、十歳になるヨシオ君である。


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 ちなみにヨシオ君というのはわたしの生徒である。ということでお分りかと思うがわたしは教師である。小学校の先生と言いたいところだが、わたしは無免許である。


 でもなにも問題はない。

 わたしたちの世界にはもう正規の学校というものは存在しないし、正規の学校がない以上、正規の教師もいないからだ。


 さて、ダーウィンとヨシオ君の答えはこうだ。


「たまたま首の長いシマウマみたいなムニャムニャが生まれて、その首の長いムニャムニャだけが厳しい自然の中で生き残って、さらに首の長いムニャムニャの子供がたくさん生まれるようになり、やがてキリンになったのです」


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 まぁそれが模範解答というものだ。

 ヨシオ君はよく勉強している。


 しかしそれが答えでは、あまりに夢がない。

 だってキリンの首が長いのはだなんてありえないだろう?


 ということで、一人の教師として、そして真実を知るものとして、ついでに言えば大人として、わたしはわたしの知っているを後世に残さねばならないと考えた。

 人間とその進化にまつわるムニャムニャのことを、だ。


 それがこれだ。


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 さて、ヨシオ君の答えが模範解答。

 それは『突然変異説』と『自然淘汰説』と呼ばれている。


 突然変異とは、たまに変わった種類の生物が偶然に生まれてくるということ。

 自然淘汰とは厳しい自然が生物の命をふるいにかけるということ。


 今も広く信じられている進化説はこの二つからなりたっている。


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 だがわたしは知っている。

 それこそ大間違いだ!


 わたしがどうしてそういい切れるのか?


 それは、わたしが身をもってそれを体験したからである。

 このわたしだからこそ、はっきりといい切れるのである。

 だからはっきりと言い切ろう。


「進化とは、突然変異のような偶然ではない。確率だけが支配する味気ないものではない。そこには自然をはねかえす強烈な意志があり、美しい奇跡があるのだ」


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 まぁそれをこれから書いていくわけだ。


 そこにはわたしの人生があり、わが弟との人生がある。

 そして多くの友人と家族たちの物語がある。


 今振り返ってみると、それは果てしないドタバタ劇だったように思う。だがこのドタバタを書くことで、この進化のムニャムニャが証明されることになるだろう。


 ドタバタ・ムニャムニャ……まぁさっきからこればかりだが、まぁいいだろう。


 その奇跡は弟に現れた。

 名を『コトラ』という。


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