寝相

〜〜♪

目覚まし音として設定してある音楽が遠くから聴こえる。深い睡魔に沈んだままの意識を強制的にその沼から引き起こされる感覚を味わいながら俺は激しい頭痛と共に目覚めた。







「……今何時だっけ……」

寝起きで掠れて出しづらい声で俺は自分に問いかける。

部屋はまだ真っ暗でカーテンを開けても外は真っ暗。部屋が真っ暗で何も見えないので電気を付けると部屋が荒れていた。

「またか……」

枕は何故か布団から一番遠いところに、読んでいた本は枕元から足元に、ある程度纏めておいた制服は蹴り飛ばされたようにあちこちに散らばっていた。

理由はどうせ寝相だろう。ストレス溜まっている時の寝相は部屋に嵐が来たのを想像してしまう。

「片付けなきゃな……」

『グチャ……ザッ……ザザッ……』

目覚ましを止めてから昨日再生していた動画が再生されていた。





「終わった……勉強……いや……無理……眠い……死ねるぐらい眠い……」

そう呟きながら手が無意識でカッターナイフを持っていた。

「一回だけだったら目立たねぇよな……」

そう言ってカッターナイフを手首に当て一気に引く。

皮膚に刃が喰い込む感覚を味わいながら

「ッつぅ……」

軽い痛みと共に血が少しずつ流れる。

「……鉄くせぇ……」

流れる血を舐めながら俺はそんなことを呟いた。

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