君じゃなきゃだめ。ー7ー


あれ?


和樹のベッドの上にはビニール袋に入ったメンズ用のシャンプーが置かれている。


忘れてっちゃったのかな?


すると


「シャンプー忘れたっ」


「わっ!」


「えっ!と、透子さん!?」


和樹が上半身裸で部屋に入って来て私は驚く。


「てっきりリビングに行ったかと」


あ・・・


和樹の身体を見ると、無数の傷跡が残っていた。


前に言ってた。


親につけられた傷が残ってるって。


「引きました?」


「へ?」


「汚い身体でしょう?傷だらけで」


彼は悲しい瞳で言った。


違う。


「汚くなんかない!」


「透子さん・・・」


私は和樹の胸元にある傷跡を撫でる。


「大丈夫だよ」


「怖かったんです。これを透子さんに見せるのが」


「引いたりなんかしないよ」


「良かった」


私は安心する和樹の身体にある傷跡にキスをする。


「と、透子さん?」


許せなかった。


今もなお彼を悩ませるこの傷を。


傷だらけの身体でも私は愛せるよ。


そう、伝えたくて気付いたら私は彼の身体についた傷跡にキスをしていた。


「っ・・・と、透子さん・・・だ、大胆すぎます」


「いつも私をドキドキさせてくるから仕返し?」


私が言うと、いきなり和樹は私をベッドの上に押し倒す。


「か、和樹!?」


「透子さん、誘ってるの?俺を」


「ご、ご両親が家にいるんだよ?」


「バレないようにこっそりするのって興奮しません?」


和樹はにやっと笑って言う。


「だ、だめだよっ。和・・・んっ」


和樹はいきなり私の唇を奪う。


舌が絡み合うキスは初めてだ。


「透子さんが俺の身体に触れるなら俺だって良いでしょ?」


「ま、待って・・・やっ・・・」


和樹は私の首筋にキスをする。


「透子さん、声我慢しないとバレますよ?」


「和樹・・・だめ・・・だよ」


私は紅潮する顔を手で隠しながら言う。


「ん?聞こえないな」


「や・・・だめ・・・」


和樹に耳を甘噛みされ、私の身体がよじれる。


和樹の手が私のパジャマの中を侵入する。


「あっ・・・」


和樹に胸を揉まれ、私は変な声を出してしまう。


「透子さん・・・だめだよ?声出しちゃ。てか、さっきの余裕はどこ行ったの?」


「い、意地悪っ」


私が言うと、和樹は笑う。


「和樹ー?」


はっ!


「ざーんねん。今日は我慢します」


和樹は私に触れるのをやめ、上を着る。


「お風呂!行って来ますね」


和樹は笑顔で言うと、部屋を出て行った。


まだドキドキ言ってる。


いつもよりエッチな事をされてしまった。


「ま、まだ心の準備が・・・」


キスだけでも大変なのに。


でも


残念がっている私もいて。


「私の変態・・・」


いつかはそうなると分かってはいるのだけど。


もう、もう!


和樹のバカーッ!




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