夢のような時間。ー4ー


教室に着くと、皆が私を見て眉をひそめる。


「今度は藤宮くんだって」


「超ビッチじゃん、春名さん」


いつも気にしていた悪口。


だけど


何でかな?今は全く気にならない。


そっか、彼のおかげだね。


「透子!」


あ・・・


立夏が私を呼ぶ。


「立夏」


「話がある」


「あ、うん!」


立夏?


私達は教室を出て旧図書室へ。


「藤宮と付き合えたんだな?」


「う、うん」


立夏に言われ、私はドキッとする。


私、立夏を振ったんだった。


「良かったな。てか、本当俺敵わねぇわ。あのガキには」


「立夏?」


「諦めるって言いに来た。透子の幸せが一番だからな」


「そう」


「本当に悪かった。俺、お前にいきなりキス・・・」


「良いの!あれはチャラにしてあげる」


「え?」


「立夏の気持ち、分からなくもないからさ。私もずーっと我慢してたから」


「そうか。はぁ、悔しいな。透子とずーっと一緒にいたのに他の奴に簡単に奪われるなんて」


「立夏・・・」


「いい加減・・・前進むわ、俺」


「うん」


「ほら、教室戻ろうぜ」


胸がずきりと痛んだ。


立夏はやっぱり優しい。


本当は辛いはずなのに。


ありがとう、立夏。


ごめんなさい・・・。



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