気付いてしまった。ー10ー



6月に入り、梅雨入りで心配していたが、幸いな事に立夏とデートする土曜日は晴れだった。


「これで良いよね?」


お母さんがたまには女子らしい格好をしろと前に買って来たデニム地の半袖のシャツワンピースに茶色いサンダルを履く。


髪はおろしてみた。


「行って来ます」


ドキドキしながら、立夏が来るのを待つ。


今日で結論を出すんだ、私!



「こんにちはー」


あっ!


「いらっしゃい!立夏くん」


「立夏!おはよ!もう行けるよ、私は」


「おぅ」


立夏は白いシャツにジーパンと至ってシンプルな服装をしていた。


「へぇ。そういう格好も似合うんだ」


「うるさい」


「何?透子達デート?」


「ち、違うし!行くよ、立夏」


「あ、待てよ!透子!」


私と立夏は家を出て行った。


「映画で良いか?」


「あ、うん!」


ずっと好きだった人とのデート。


ドキドキして緊張するのかなって思ってた。


だけど


意外と大丈夫?


映画館に着くと、私の胸が痛んだ。


藤宮くんと来た映画館だった。


「透子?」


「あ、映画っ。何観るの?」


「これ」


「アクション映画?」


「透子、好きだろ?こういう不良同士のバトル物」


「う、うん!」


恋愛映画じゃないのかぁ。


まあ、私こういうの好きなの事実だもんね。



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