私と恋してみませんか?

胡桃澪

第1話 その後輩、小悪魔ですよ。

その後輩、小悪魔ですよ。ー1ー


恋愛感情なんて要らない。


心からそう思った。


叶わないなら私は要らない。


「・・・俺、愛未と付き合う事にしたから」


「へ?」


幼馴染の立夏の隣には幸せそうに笑う親友。


神様は残酷だと本当にそう思った。


「おめでとう、愛未!」


私は無理に笑顔を作って彼女に言う。


「ありがとう、透子ちゃん!」


愛未は私に抱きつく。


私の好きな人は私の親友の彼氏になってしまった。


だけど


二人は私の気持ちなんて知らない。


私、春名透子。16歳。


人生3度目の失恋をしました・・・。


「はぁ、なーんであんな奴好きになったんだろ」


「透子ってさ、本当一途だよねー。立夏くんに彼女できたのこれで3度目。ずーっと好きなんてさ」


昼休みになると、私は中学からの友達であるユキちゃんに話した。


ユキちゃんは茶色い髪をいつも巻いていて、化粧をし、制服を着崩したちょっとギャルっぽい女の子だ。


だけど、中身は私よりしっかりしていてよく私の相談に乗ってくれてる。


「私だってやめたいし」


私はずっと幼馴染の藤堂立夏に片思いをしている。


立夏は180センチと長身で髪は短髪で切れ長の目をした塩顔系男子。


常に学年トップでスポーツも万能、誰に対しても優しく頼り甲斐がある為、かなりモテる男。


そんな奴に片思いをしてもう10年以上。


一度も気持ちを伝えられないままでいた。


まさか愛未と付き合うなんてね。


愛未は小柄でいつもニコニコしているまさに癒し系な女の子。


いつもパーマがかった栗色の髪をハーフアップにしていて、化粧をしていないのに瞳が大きく、まつ毛が長いドールフェイスな為、めちゃくちゃ可愛くてモテる。


まさに美男美女カップルじゃん。


愛未とは高校からの付き合いだけど、長年の付き合いのように仲が良い。


いつもクラスで私は愛未と二人でつるんでいる。


それくらい仲良いから言えなかった。


愛未が立夏を好きだって言ってくれた時、私は「応援するよ」としか言えなくて。


本当苦しい。


立夏に彼女ができるのはこれで3度目。


でも


今回が一番苦しいし、私を悩ませる。


同じクラスだから嫌でも二人がいちゃついているのを見なければならないし。


そろそろ潮時なのかもしれない。


愛未との友情を守る為にも。


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