猫よ、何故2回続けて吐くのだ
クリスマスといえば『厳か』『きらびやか』『和やか』といった言葉が似合うものだが、2016年の深水を襲ったのは『嘔吐』であった。
クリスマスの午後から吐き気に襲われ、嘔吐。救急病院へ向かう途中でまた嘔吐したのだ。
しかし、医師は特に診断せず、ただ「点滴してく?」と言った。まるで「車乗ってかない?」などという下手なナンパのような軽いノリであった。
点滴を受けて落ち着いたものの、真夜中に発熱。翌朝には微熱になったが、今度はひどい頭痛に襲われた。
病院の処方薬をいったんやめ、市販の解熱鎮痛剤にきりかえるとおさまったが、あまりに散々なクリスマスに呆れ返ってしまった。
突然の嘔気には、心当たりがいくつもあった。
お昼ご飯に食べた数日前に作ったそぼろがいけなかったのか。育児で午前中ずっと修羅場で、胃がキリキリしていたのも覚えている。もしかしたら肩こりからきているのかもしれない。胃腸炎も流行っている。
おまけに深水は時折、原因不明の吐き気に襲われて吐く。もしかしたら、脳内に住む私が毛玉を吐きたくなると深水も吐くのかもしれない。
しかし、原因がわからないことよりも、息子たちにうつらないかということのほうが不安である。
早く治そうと安静にしたくても、家事育児はしなくてはならない。息子たちと猫の世話がひと段落して「やっと寝れる」と布団にダイブしたところに「おえっ」と誰かがえずく声がした。
猫だ。とはいっても、私ではない。深水が飼っている4匹の愛猫である。
何故、猫は『今はやめて』というときに吐くのか。寝る寸前や出かける間際、またはなんでも触りたがる長男の目の前だったりする。一番困るのはキャットタワーの上に登っているときに吐かれることだ。吐瀉物のシャワーが降る羽目になる。
しかも何故、2回続けて吐くのか。
個体差はあるだろうが、深水の飼い猫は歴代全員、2回だ。3回でないだけマシなのだろうか。
おまけに受け皿をよけて吐くのだ。吐瀉物を受け止めようと古新聞を差し伸べても、後ずさりして意地でも床に吐く。何故だ。
しかし、いくら深水が「何故」と問いかけても、それが猫の生態なのだから仕方あるまい。クリスマスに病院の天井と点滴を眺めていた深水には、人(猫)のことはとやかくいえないのである。
さて、今宵はここらで風呂を出よう。
猫が湯ざめをする前に。
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