文字数7000  ジャンル『恋愛』 タイトル『花びらが散るように、君を忘れたい』




『愛した人は桜のように、可憐で、残酷な人でした――』










今年の桜も満開に咲いて、花びらをゆらゆらと散らしていく。


 それを見る度に僕は憂鬱な気分になる。



 ……椿の花のように、すっぱりと割り切れたらいのに。


 

 桜の花びらは一瞬の命を燃やしながら、風に舞い消えていく。まるであなたを忘れることをためらうように、そっと、しとやかに。


 椿の花のように、首からすっぱりと切られたらどれだけ楽だっただろうか。



 ……あなたの『特別』になりたかった。



 好きという気持ちを推し量ることができず、僕は彼女を攻めた。彼女にならわかって貰えるその傲慢さが、僕たちの関係を壊した。



 桜の花を見る度に僕の心は揺れ動く。



 この出会いを、彼女はまだ、覚えているのだろうか――。




  ◆◆◆



 出会いの種は僕が大学時代、バーでバイトしていた時のことだ。僕の勤めていた店では一週間に一度、金曜日に生け込まれた花が届く。それを届けるのが彼女の役目だった。


 彼女は重たい鉄でできた器を両手で抱えながらバーカウンターへ急ぐ。それを補助するのが僕の役目で、麻布の包装を固定することが週に一度の決まりだった。


 僕は彼女の名前を知らないし、彼女も僕の名前を知らない。そのやりとりだけで僕達はコミュニケーションを取れるようになった。一度で上手くいけばハイタッチ、二回までだと手を振るだけ、三回を過ぎるとお互いに気難しい顔をして笑い合った。


 彼女は燃えるような赤いカチューシャをしていて、それを見る度に、僕の心に植えられた種はすくすくと育っていった。


 それが半年以上続いた後、僕達は大学の食堂で偶然出会ってしまった。彼女はバイトの時と同様、赤いカチューシャをしていたのだ。


 彼女は友人と話しており、僕の視線に気づきながらも避けているようだった。僕も僕で友人がいたのだが、それよりも彼女の動向が気になった。


 彼女は大学では自分のオーラを消しているように影が薄かった。友人と話す時も、相手に話をさせるように話題を振っていたし、聞き上手な人がする相槌にも磨きが掛かっていた。


「おい、どこ見てんだよ」


 友人の一声で僕は彼がいることを思い出す。


 僕は恥ずかしげもなく彼女の方を指差す。



「え、もしかしてお前、あの子のこと、好きなの?」



「いや、バイト先で会ったことがある」


 僕の学科は農学部だった。応用生物学科といって農学部の中でも広い範囲で活動をするのだが、彼女を見たことがなかった。


 この大学にあるものは他に工学部と教育学部だ。比率から考えれば、きっと教育学部だろう。


「ふーん、お前、ああいうのがタイプなんだ。気が強そうだな」


「……ほっといてくれ」


 友人の話に相槌を打ちつつも、彼女の身の回りの環境を判断して推理する。友人と共通のものがテーブルの上にある、楽譜だ。彼女はきっと教育学部の中でも音楽科なのだろう。


「なあ、やめとけよ、あそこに座っているお嬢さん達、皆、金持ちだから」


 そうなのだろう、と思った。姿勢のよさ、話し方、笑い方、全てに品を備えていて僕が扱っていいような代物ではないということはいわれなくてもわかっている。


「まあ、見る分には構わないだろう?」


 僕は自分に言い含めるようにいった。


 彼女のロングスカートに僕は目を奪われる。秋をイメージさせる朱色に心を打たれる。


 黒のタートルネックから出ている細い首、薄いチェックのグレイのカーディガンが彼女の細い体を引き立たせる。その組み合わせは卑怯だろう、どうぞ見て下さいといわんばかりの僕好みのコーディネートだ。


 彼女は他人行儀な笑い方をしながら、友人と席を離れた。これ以上、視線で追うことはできず、彼女がいなくなった席をただ、目に映す。



 ……どうせ、またバイト先で会える。


 

 深追いせずに自分を慰める。その心の声に、僕はどうしようもなく自分が恋をしていることを自覚する。



 ……彼女を知りたい。


 

 種はすくすくと伸び、旬を待ち望む蕾を宿していく。



 今でも僕は、この枯れた蕾を捨てることができないでいる――。



  ◆◆◆


 

 三日後の金曜日、僕はバイト先で彼女が来るのを待った。グラスを拭いてもボトルを拭いても、一向に時間が経たない。彼女は客が入る前にだいたい来るので、後5分以内には来るはずなのに、それでも彼女は来ない。


 カランと扉が開く音がした。彼女しかいない、と僕は体を前のめりにしドアの行方を追った。そこには大きな器を持った男の人が立っていた。



 ……今日は違うのか。



 普段でも彼女じゃないことは度々にあった。それでも今日はなぜか彼女がくる、という謎の確信を持っていた。そうでなければ自分に不都合だったからだ。


 彼に合わせて麻布の包装を固定する。もちろん彼ほどの大柄な男であれば必要ないのだが、習慣になってしまったため体が勝手に動いてしまう。


「彼女は店にいますか?」


 僕は勢い余って花屋の彼に訊いた。


「ん? ああ、今日は店で花束を作ってる。悪いな、あいつの方がよかったか?」


「いえ、別に……」


 僕は小さく呟いた。彼に自分の気持ちを述べても仕方がない。不運だったと思って諦めよう。



「伝えることはあるかい?」


「特に……ないです」


 男は無言で立ち去ろうとした。その背中に僕は何かをいわなければならない衝動に駆られ、一言だけ口走ってしまった。



「カチューシャ、いいですねと伝えて下さい」


 

 彼に聞こえたのかどうかは定かではなかったが、僕の胸に突っかかった気持ちは半分ほど無くなっていた。

 


……そうだ、僕はこの言葉を彼女にいいたかたんだ。



 大きな後悔と、小さな満足を手に入れた僕はその日、彼女のことを考えないようにがむしゃらに働いた。

 


 次の日、僕は食堂で張り込んだ。教育学部の連中がよく座る場所でだ。食堂に指定席などない、こっちから踏み込むことだってできるはずだ。


 彼女を一目見たかった。一目見て、彼女がきちんと存在していることを確認したかった。一週間に一度会えないだけで僕の心は淀んだ水のように腐っていく気がした。


 食器を載せるバトンを目で追っていると、一人だけ目についた。彼女と一緒にいた友人だった。


 彼女の手がかりを手にいれたい一心に血眼になって彼女を探した。



 ……見つけた。



 彼女が目に入り僕の心は昂っていく。だが彼女の全てを僕の瞳に入れた瞬間、心はみるみるうちに鎮火されていった。


 彼女は赤いカチューシャを外していたのだ。



  ◆◆◆



 次の金曜日、僕は憂鬱でバイトを休みたかったが、もちろん休めるわけもなくグラスを拭いていた。カランと音が鳴ったことに気づかず、僕はただ一心に業務にあたっていた。

 

 顔を上げると、彼女が重たそうな花瓶を夢中で持ち上げている姿が映った。



 ……手を貸さなければ。


 

 手を伸ばせば、麻布に手が届く。だが予期していなかったため、手は泡だらけだ。この手で固定することはできない。


 すでに彼女は自分の視界まで迫っていた。このまま黙っておけばいいのだろうか。彼女だって自分の仕事なのだ、一人でできるし僕が手伝わなくても――。



「……ちょ、ちょっと待って下さい」



 僕は自分の声にびっくりしながらも手を急いで洗い始めた。


 急いで手を洗うが布巾がない、僕は掛けてあるエプロンで手をがむしゃらに拭く。早くしないと彼女の手が疲れてしまう。


「いいですよ、そんなに慌てないで」


 彼女はそういって笑った。


「これは私の仕事なんですから、別に無理に手伝って貰わなくても」


「手伝いたいんです」


 僕は麻布を固定しながらいった。


「これはもう業務の一貫というか、やらないと気が済まないんです」


「ありがとう、じゃあお言葉に甘えて」


 そういって彼女は僕が固定した麻布にぴったりと花瓶を差し込んだ。


「いつもありがとうね、助かります」


 そういって彼女は笑顔を見せた。

 

 その頭には燃えるような、色のカチューシャが付けられていた。



 ◆◆◆



 次の金曜日、僕はバイトに早く出た。彼女が来てもいいように自分の仕事を終わらせておきたかったからだ。どうか彼女が来ますように、僕の願いはその一点だった。


 大学で彼女を見掛けても、話しかけないでいた。なぜかはわからないが、彼女は素性を隠しているような素振りを見せていた。教育学部の音楽科は高嶺の花だ。きっと身の振る舞い方があり、僕が入っていい領域ではないのだろう。


 からんと音がする。鉄の器が扉の把手口とぶつかり鈍い音がする。間違いなく花屋だ。


「こんにちは」


 彼女は白い吐息を吐きながら僕の顔を見て、優しく微笑む。その笑顔にもう引き返せない、と確信してしまう。


 僕はもう完全に彼女の虜だ。どうなってもこの恋は始まってしまっている。


「いつもすいません。あら、今日はグラスはもう洗ったの?」


「ええ、あなたと少しでも話したくて」


 僕は正直に思いを伝えた。一週間という待機時間が僕の恋心を加速させていくのだ。


「そう、じゃあ少しだけ話していこうかな」


 彼女はそういってバーカウンターに申し訳なさそうに座った。


 時計を見ると、いつもより15分ほど早かった。彼女もまた時間を早めてくれているのだと気づく。


「カチューシャお似合いですね」


 僕は意味もなく吹き上げたボトルを掴んだ。そうでもしなければ面と向かって話せないからだ。


「そう? ありがとう。めっちゃ嬉しい」


 彼女は歯を見せて笑う。少しだけ八重歯が見えてどきりさせられる。


「……どうして大学ではカチューシャを外しているのですか?」

 

 なんとなく、聞くと彼女は苦笑いを浮かべながら長い黒髪に指を絡めた。


「ん、やっぱり気づいてた?」


「気づきますよ。あのカチューシャを見るために大学に行っているようなものですから」


 過激な言葉が宙を舞う。だがもうこの思いを止めることはできない。


「正直にいって後悔しています、背の高い男性にいったこと……」


 カチューシャが似合うといった言葉を訂正したかった。いわなければ僕は大学で彼女を容易に探すことができたし、彼女の秘密を独り占めしているような感覚を味わうことができた。



「私は何も聞いていないけど……彼に何かいったの?」


「あなたのカチューシャが好きだということをいいました」


 僕は彼女の目を見ていった。ここまできたら後戻りはできないし、するつもりもない。


「好きなんです、あなたが。あなたのことを何も知らないけど、知りたくてしょうがないんです」


「そう……なんだ」


 彼女は深く目を伏せる。そのまま長い睫毛をぴくりとも動かさず、時が停止していく。


 営業時間の鐘が重い沈黙をかき消していく。そろそろタイムリミットだ。



 ……やはりダメだったか。



 意外にも心は落ち着いている。どうせダメなものはダメなのだ。ならいっそ、枯れる前に散った方がいい。生け込まれた花を見ながら僕はそう思った。



「……で、君はどうしたいの?」



 鐘の音が消えぬまに彼女は一言そういった。


「えっと……」


 考えていない内容だった。もちろん付き合いたい、という気持ちがあるが、何も知らない前提で来ているのだから、そういうのはおかしい。


 ここは何といえばいいのか。



「お友達に、なってくれませんか?」



 僕は真剣に思いが伝わるようにいった。


「あなたと仲良くなりたいのです、色恋ではなく、純粋に。ダメでしょうか?」



「ダメじゃないけど……」


 彼女は困ったような顔を見せる。


「私といても退屈よ。私、今まで男の人と付き合ったことなんてないから」


「え?」


 僕は口を大きく開けたままいった。こんな美人が付き合ったことがないなんて、なんの冗談だろう。背の高い花屋の男性が実はオカマで自分でバーを開いているといった方がまだ面白みがある。


「お友達ならまだいいけど、それ以上先をみないっていうのなら、いいわ」


 彼女もまた真剣な瞳でこちらを見る。僕は手にしていたボトルを置いて彼女を見た。


「それで構いません。でも……僕はあなたのことが好きなので、連絡先を教えて貰ったりとかは……」


「もちろんいいわ。じゃないと……お友達になれないじゃないっ!」


 彼女は再び八重歯を見せた。桜色の薄い唇にその小さい牙はやはり卑怯だ。


 今日の出来事を一生忘れることはないだろう。


 もちろん今では逆のことを考え、忘れたいと願っているのだけど――。



  ◆◆◆



 次の金曜日から、僕はいつもより仕事に30分早く出るようになった。今まではきちんとオープンの文字を出していたが、今ではクローズの時間を長くしている。もちろん彼女と会っている時間を誰にも邪魔されたくないからだ。


 僕達は、週に一度会い、お互いの気持ちを確かめていった。会えない日は連絡を取り合い、お互いの趣味や価値観、好きなものなど話していった。


 薄々感づいていたが、僕と彼女の価値観は驚くほど逆だった。それでもお互いにいい刺激になり、僕達は新たな知識を得ることで、お互いの心に水を掛け合うようにすくすくと愛を育てていった。


 その芽は葉を生やし、やがて立派な茎を伸ばしていった。僕は前より彼女を好きになったし、彼女もまた僕の存在を認めてくれるようになった。


 それでも大学では、やはり話し掛けることはできなかった。彼女が極端に嫌がる素振りを見せるため、踏み出せないでいた。


 だが僕は満足していた。彼女は友達の前では関西弁を使わないからだ。彼女は関西の生まれであることをずっと黙っていた。僕の父親が大阪の天王寺に住んでいたというと、彼女はそれに反応し、彼女の秘密を見せてくれるようになったのだ。



 ……お互いが納得して成長していけば、乗り越えられる。



 その時は本気でそう、思っていた。

 そして季節は秋を終えて冬を越し、春へ向かっていった――。



 お互いが友達と認識して半年が経ち、桜の季節が見頃を向かえるようになり、僕達は正式に付き合っていた。


 僕も彼女もお互いのことを知り尽くし、それだけで飽き足らずに彼女がバイトが終わった後、僕の店に飲みに来てくれるのようになった。



「そうなんよ、うちは薄味のうどんが好きやんか、それがあそこの店ではさ……」



 今では彼女が喋り、僕がそれに答える形になっている。


 あれだけ奥手だった彼女が自分の身の上話をしてくれていることに僕は軽く退屈を覚えるまでになってきている。


 もちろん彼女に対しては好きだという感情は変わらない。それは木の枝ぶりと同じように、時間の流れで歪んでも芯は変わっていない。


 僕達の芽は立派な枝を生やし、花をつけていた。その花はまだ咲いていなくて蕾のように固いけれども、順調に愛を育んでいた結晶だった。


 彼女を家に送るまで親密になっても、大学内では会っていなかった。むしろそれが僕の気持ちに新鮮さを与えてくれ、それ以上踏み込むことはなくなっていた。


 それが今日みたいな雨の日なら格別だ。



「……ねえ、今日は泊めてくれへん?」



 彼女は笑顔のまま僕の背中に寄りかかった。



「お酒を飲んだまま一人で寝るのはなんか怖いんよ。ねえ、お願い……」



 彼女の甘えた声にも理性を保てるようになった。半年前では彼女の瞳を見ただけで動かなくなっていたのにだ。



「いいよ、そのかわりベッドは一つしかないけど」


「もちろん、わかっとるよ。ありがとう、めっちゃ嬉しい」


 彼女の誘惑に抗えない。抗う必要もないし、これからも彼女を受け入れていくつもりだ。


 なのにどうして僕は彼女を疑っているのだろう。


 きっかけは大学内での出来事だった。彼女が音楽室で、椅子に座った子と口づけを交わしていたことを。

 

 家に帰り、冷蔵庫を開ける。僕達は一つのベッドで一つの缶ビールを飲み、一つの布団を共有する。


 彼女のカチューシャをためらいもなく外すと、彼女は魔法が解けたように恥じらい、僕の胸の中で猫のようにじゃれつく。


 僕は惜しむことなく彼女を全力で抱きしめる。根を絡ませ共存できるように熱く、激しく。



 ……やっぱり僕では駄目なの?



「……好きよ、れん


 彼女のたった一言で自分の中にある蕾が咲き誇る。けどここだけだ。僕の花は夜行性で、朝には閉じている。



「ずっと一緒におってね。約束よ」



 懇願するようにいう彼女に僕は戸惑いを覚える。声と心の言葉が食い違っているように見えるからだ。



 それでも僕は頷くしかない。僕の心は彼女のために存在しているのだから。



「……ねえ、ここからでも桜の花が見えるんやね。これから雨が降るけど、散ってしまうんかなぁ。私、桜の花がめっちゃ好きやねん。そういえば、この間、お客さんがさ……」



 花が好きだという彼女、その心は本物だろう。彼女には嘘をつく時、目を伏せる癖があるからだ。


 彼女を再び深く、強く抱きしめる。もっと自分に近づいて欲しい、もっと素直になって欲しい、全てを話して欲しい。


 たくさんの思いを込めて僕は彼女を抱きしめ続ける。彼女に僕の養分を届けるように熱く、きつく、激しく。


 それでも彼女は僕の思いをはぐらかし、子供を抱くように手のひらでそっと背中を撫でてくれる。



 ……彼女に認められたい。



 世界中で、僕のことを一番に思って欲しい。僕はあなたのことしか考えていないのに、その笑顔は卑怯だ。


 桜の花びらが雨で散る前に、僕は彼女のことを強く、噛み締めながら抱いた。



♦︎♦︎♦︎



 彼女と別れ、一年の月日が経った。


 僕が彼女を求めてしまったからだ。彼女にはもう一人の恋人がいて、彼女はどちらも平等に愛してくれていた。


 彼女は桜のように、雌雄を同時に思っていたのだ。



「……ごめんね、蓮にばかり、辛い思いさせて」



 彼女は赤いカチューシャをしている時だけに、僕を愛すと決めていた。もちろん今の彼女はカチューシャをしていない。それは長かった黒髪を短く切った理由だけではないだろう。



「……蓮のことも好きだけど、あの子には私がいないと駄目なの。……蓮は強いから、私じゃなくても……大丈夫よ」



 雨の中、僕は去年と同じ桜を見た。今頃君も同じようにこの桜を見ているのだろうか。僕と関わったことを思い出して懐かしむように桜の花を見てくれるだろうか。



「ごめんね、本当にごめんね……」



 関西弁ではなく標準語で泣きながら謝る彼女に、僕の心は凍てついていくだけで、彼女に対する思いは変わらなかった。


 椿のように華やかな赤を纏った君だから、ばっさりと花ごと落としてくれると期待していた。

 

 でも君の花は緋色を纏った『桜』だった――。



 ……花びらが散るように、時間を掛けて、君を思い出にしていこう。



 君をすぐに忘れることなんてできない。


君が僕の心に種をくれて、根を生やし、葉を育て、茎をはぐくみ、枝をつけ、花を咲かせてくれたのだから。


 この世界から、桜が全て枯れない限り、また来年も、僕は君のことを思うだろう。


君のような花に出会うまで、僕はきっと––––。






★35

14人が評価しました

★で称える

自分の小説はレビューできません


おぼろつきよさんが2016年12月25日 15:05に★で称えました

水琴桜花さんが2016年12月22日 17:52に★で称えました


★★★ Excellent!!!

散りゆく桜は切なさを乗せて ―― 紫藤 咲

ゆっくりと舞い散る桜。その散りゆく桜には切なさが乗っていたーー


ひとつの恋が終わりを迎える、見上げる桜に想いと想い出が滲み、きゅっと胸を締め付けます。


桜を見ると切なくなるのはそのせいかもしれない…恋の儚さと優しさと切なさときらめきが咲き散る物語をあなたにも。


2016年12月18日 07:36

★ Good!

切なさと美しさの短編 ―― 梶舟景司

恋愛についての、綺麗な物語


2016年12月17日 10:03

★★★ Excellent!!!

出会い、別れ……恋のせつなさは、常に喜びと紙一重。 ―― 藤田アシシ

幸せを願っているのに、手に入れることができない。

そんなもどかしさと、切ない気持ちにあふれている作品です。


2016年12月16日 18:36

★★★ Excellent!!!

もっと知りたい二人の背景 ―― 福井真世

★2か3か非常に迷い、3をつけましたが、実は2に限りなく近い3です。


彼女の秘密にもっと切り込んで欲しかった。秘密を秘密のままにするのは手法としてもちろん有りなんですが、これだけ素敵な雰囲気の小説なのにほとんど彼女の事情が明らかになってないのは(匂わす程度しかない)惜し過ぎると思います。


長編になる可能性も秘めた作品です。


2016年12月16日 16:03

松 詩桜さんが2016年12月15日 22:49に★で称えました

RAYさんが2016年12月13日 07:24に★で称えました

はまなすなぎささんが2016年12月12日 16:07に★で称えました

@kuronekoyaさんが2016年12月11日 11:21に★で称えました


★★ Very Good!!

恋は花 ―― 一ツ川

純粋に僕のイメージする恋路と似ていてなんだか恥ずかしくなってしまい、首をぶんぶん振って気を紛らしながら読んだ。

テンポが良く、とても読みやすいと思う。


2016年12月10日 01:34

★★★ Excellent!!!

季節が回るように恋もくるくる回る ―― 狼狽 騒

バイト先でよく見かけていた彼女。

大学での食堂で偶然姿を見つけ、そこから友人関係、恋、愛、そして・・・・


短い文の中でのドラマがあり、そして特殊な心情は様々な感情を想起させます。


考えさせられる作品です


2016年12月9日 22:11

★★ Very Good!!

可憐な花を想像。 ―― 大柴 博明

身近に描くものの、原点があるっていいですね。


私の小説は、ダークなんですが、いい小説だと思います。


人生が表れてしまいます・・・


2016年12月8日 19:07

★★ Very Good!!

桜が散ること ―― 舞夢

桜は散るから美しいのかもしれない。

結ばれなかった、散ってしまった恋だから美しいのかもしれない。

結ばれるとか結婚するとかが、現実は最上ではない。

結婚するまでは遊びで、その後は「せちがらい現実」が始まる。

それでいて、たいていの男は「悪者」。

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