3部屋目八恵先輩の家へようこそ?

朝が来た。金曜日だ。時刻は午前7時。普通なら15分後には家に出なければならない。あぁ、仕事に行かなきゃなー…。俺は支度をし、家を出ようとした。ふと後ろを見た。昨日のことが少し忘れられない。色んな謎が深まるばかりだ。心残りをして俺は家を出た。

ギリギリで出勤できた。俺のとなりには八恵先輩がいた。「やぁ。今日は遅かったね。なんかあった?」

少し心配そうにそう言った。

「いやー…。あの話せば長くなるんで……。」

「そうか……じゃあ、昼休みに聞こうかな。」

「え⁉あ、はい。」

いつか誘おうと思っていたことが今日思わぬ形で実現してしまった。嬉しいが男としては少し駄目な気がする。


――――――――――――――――


昼になった。休憩室で八恵先輩と食べることになった。

「頂きます。」

八恵先輩は弁当を取り出した。手作り弁当、食べたい。

「で、何があったのさ?」

「あ⁉えーとですね…実は……。」

俺は昨日の出来事を全て話した。まぁ正直全てではなかったけど。少し記憶がないとこもあるし。

「凌馬君、凄く興味深いよ‼」

八恵先輩が目をキラキラさせながら言った。

「でもね。でも少し心配だな。」

「え………?」

「多分それは異世界転移。現実の世界とはまた別の場所に行っちゃうんだ。」

「はぁ………。」

「ひょんなことから転移して、帰ってこれない事もあったりなかったり。」

「えぇ⁉なんすかそれ!?」

「そこでだ。凌馬君。今日家に来たまえ。」

「あぁ。はい。ってええええええええ⁉」

八恵先輩の家へ行くだとぉぉぉぉぉ‼今日は最高の日になりそうだぜ。ひとつ屋根の下であんなことやこんなことがなぁ……。

「凌馬君。顔がにやけてるけど、大丈夫?」

「え⁉いや、何でもないっすよぉー!」

「多分家に親がいるかもだからそこは我慢してね。」

まさかの家族がいらっしゃってるんですかい……………。

「分かりました…。」

「え⁉ちょ⁉何で泣いてるの?大丈夫⁉」

淡い期待を抱いた俺がバカでした。

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