2部屋 山代家へようこそ。
「おや!これはどうぞいらっしゃいました!ささ、上がんなさいな。」
イヤイヤイヤ!!!!ここ俺の家なんだけどぉぉぉぉ!!!
「いや、あのー…ここは俺の家なんですがー…。」
「え!?何を言ってるんですか。まさか狐にでも化かされたんじゃないでしょうかあんた!」
笑いながら山代家の大黒柱であろう父がそう言うのだ。いや、化かされてんじゃないのか俺も疑いたいんですが。まさか昨日夢は本当なのか?しかし本当ならこれずっとこのまんまの可能性あるぞ。
「では…。お言葉に甘えさせていただきます… 。」
俺は山代家?にお邪魔することになった。
「お兄さん。鍋は好きかぁ‼」
「はい。好きです。一応………。」
「なーら食ってけ‼皆で食えばもっと盛り上がるわ‼」
山代家父はまた豪快に笑う。
「いただきます……。」
俺は鍋の野菜や肉をいただいた。凄く温かくて、久しぶりに実家に帰りたいと思ってしまった。
鍋を食べ終え、一息ついたとき山代家次男が、「ねーねーおにいさん!!しりとりしよー!」
「良いぞ。」
「僕からね!しりとり!」
「リンゴ。」
「ごはん!!!!!」
え………終わったんですが。
「父さん。もう寝るね。」
山代家長男がそういうと砂になってしまい何処かに消えてしまった。
「なっ………!?」
俺は動揺が隠しきれなかった。目の前におこったことが認識しきれてないのだ。
「おにいちゃん‼ぼくもいくー‼」
「じゃあ、あなた。子供たちの様子、見てきますね。」
そういい次男も母も砂になってしまい何処かへ消えてしまった。
「驚くのも当たりめぇだと思います。」
山代家父が少し寂しい顔でそう言った。
「彼らは…何処に消えたんですか!?」
「まぁまぁ落ち着きなさんな…。あんまり時間もねぇですから、話だけ聞いちゃくれねぇですか?」
「は、はい…。」
「ありがとうございます。今日もこうして、家族で鍋を食べる予定だったんです。直ぐに気づけば良かったんですが、その日はどうも仕事が上手くいかず家で怒鳴っては出ていってしまいました。暫くして戻ったらもう…………隣人の火災で、全焼でした。」
「……………。」
「なんであのとき、あっしは家族のとこにいなかったのだろうと今でも思うんです。でも受け入れられなかった。気づいたら俺は首を吊ってました…。」
終始言葉が出なかった。 山代家の家族は皆幽霊だったんだ。じゃあシャッフルルームって一体なん―「でも、もう良いんです。あんたの涙で気持ちの整理がつきやした。」
え……いつから俺…泣いてたっけ…?自然と涙が出てるのが気づかなかった。
「多分あっしは誰かに共感ってのがしてもらいたかったんだと思いやす。」
「また…鍋たべたいですよぉ……。」
我ながらみっともない泣き顔を見せる俺。
「えぇえぇ分かりやした。あんたがまた思えば来ますよ。もう泣かんでくだせぇ。」
「うっ…うっ…わかりましたぁ…。」
「今日は本当楽しかったです。ありがとうございやした!おやすみなさいませ。」
そう言い残し山代家父も砂になって消えてしまった。それを確認して安心したのか、俺はそのまま寝てしまった。
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