トンネルの向こう

 ひゅんと静かに風が鳴く

 コートの襟を立てて白い吐息を吐き出した

 誰にも知られないようにまた一日が産まれてく


 何て清々しい光景だろう

 いつもいつもこの瞬間に立ち会うたびに

 それは生まれたての純粋な心


 時計の針はしばらくしたら耳に住み着くだろう

 まだここに居る必要はない

 部屋で異世界を楽しめばいい


 全てが正しく整っていく

 リセットされた蒼い風景

 今、最初の鳥が目を覚ます


 ずっとずっと起きている今と

 準備された上での約束された今と

 まったく同じ風景が

 全然違うイメージで迫るよ


 光が満ちていく

 誰もが喜びで満たされる

 海からやってくる偉大な彼を

 祝福しないものは誰も居ない

 

 急かすでもなく なだめるでもなく

 いつの間にかそこに当たり前に

 それはまるでたましひにも似て

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