第15話「穴の底には」
それから数分くらいで穴の底に着いた。
そこにはたしかに妖魔らしきものがいたが。
「ねえ、カルマさん」
「何だ?」
「あれの何処が女性には見せられないのさ?」
「うちの女性陣にあんなもの見せたらどうなる?」
「ああ、なるほどそういう事か。結構理解してんだね、カルマさんも」
そこにいたのは幼稚園から小学校低学年くらいの可愛らしい男の子や女の子達だった。
ざっと見て五十人くらいか。
妖魔らしき、と言ったのは全員背中に黒い翼、頭には角があるから。
しかもすっぽんぽん。
たしかにこんなのロリコン百合の姉ちゃんやショタコンのミカユカ、キリカさんやアマテラス様に見せたらえらいこっちゃだわ。
「……うわ」
シューヤは女の子達を見て顔を真っ赤にしていた。
「おい、あれで真っ赤になるか。あ、もしかしてロリコ」
「そんな訳あるか!」
シューヤはどっからか出した槍を構えて僕に怒鳴ってきた。
いや、普通に否定してくれ。
「ここはたしかに破邪の力が効きにくいですね。私の力も……いったいこれは何なのでしょうか?」
「それは我にもわからん。あの子供達が妖魔と化した国民の一部なのはわかるが」
セイショウさんとカルマが話している時
「あ~、これは……思い出したよ~」
「ギャアアアァー!?」
二人の前にいきなりヒトシが現れた。
「そんなに驚かなくてもいいだろ。てか僕を置いてくなよな~」
ヒトシは少し怒ってるふうに言った。
「ち、父上様!? 母上様としてたんじゃ?」
「そんなしょっちゅうするわけないだろ。ランなら説教した後で置いてきたよ。今頃は皆で女子会でもやってるんじゃないかな?」
「そうですか。しかし母上様や他数名は女子って歳じゃないですが」
チュドーン!
セイショウさんはいきなり落ちてきた雷に打たれ、真っ黒焦げになって倒れた。
「いらん事言うから……ところでヒトシ、何か思い出したようだけどいったい?」
僕が尋ねると
「ああ、ここは僕が昔作った異空間だよ。本当はここに吸い込まれた者は皆純粋な子供になっちゃうってもんだけどさ、たぶん超兵器の影響でここと異空間が繋がり、悪しき縁が合わさってこうなっちゃったんだろね」
「そうなんだ。てか子供にしてどうする気だったの?」
「あの時はただの気まぐれで作ったんだけど……自分で言うのもあれだけど、心のどこかに皆純粋だった頃に戻って人生をやり直してほしい、今度こそはってのがあったのかもしれない」
そうか……。
「あの~皆さん、セリス君がいつの間にかあの子達と」
「はぁ!?」
シューヤが指さした方を見ると、セリスが子供達と楽しく遊んでいた。
「へ~、何か楽しそうだし、オイラも一緒に遊んでこよっと」
「あ、待って。僕も行くよ」
チャスタとルーがセリスの側に駆け寄り一緒に遊び出した。
「どうしよ?」
「黙って見ていようよ。あの子達なら大丈夫」
ヒトシがそう言った。
「そうだね。あ、シューヤは行かないの?」
「うーん、どうしようか」
シューヤが考えこんでいると
「ねえお兄ちゃん、遊んで~」
何人かの女の子がシューヤに声をかけてきた。
「え? おれと?」
「うん! 行こ」
「あ、ああ」
シューヤは女の子に手を引かれて歩いて行った。
「へ~、結構モテるじゃん、シューヤって」
「あれユカちゃんが見たらキレそうだね~、キャハハハ」
「そうだね、ところでシューヤが変な目で女の子を見てた気がするけど、気のせいだよね」
「……それは気のせいじゃなくてさ、ヘルヘイムの意識が一瞬強まってたんだよ……キャハハ」
ヒトシは苦笑いしながらそう言った。
あの冥界王はロリコンだったのか?
「皆あんなに楽しそうに。私が話しかけた時は怯えて離れていったが」
王様がそんな事を言った、あれ?
「あの、実体化してます?」
「あ、はい。何故かこの場所でのみこうなるのです」
王様は首を傾げながらそう言った。
「王様には聖なる力が結構あるんだよ。だから皆が完全に妖魔になるのを防げたし、自分自身も妖魔にならなかった。実体化してるのはいくつもの偶然が合わさったせいだろね」
ヒトシが説明してくれた。
しかし聖なる力があっても魔が差すってのはあるんだな。
その後しばらくはセリス達の様子を眺めていた。
チャスタは何人かとサッカーして遊んでたり、ルーが玩具を創りだして一緒に遊んだり。
あとシューヤ、いやヘルヘイムが何か女の子をベタベタ触ってたので神力の気功弾をぶつけてやったらシューヤの意識が戻った。
そしてシューヤは涙を流して絶叫した。
まあ前世がアレだって知ったらそうなるわな。
そして……。
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