第13話ショッピングに行こう⑥
大音響とともに現れたのは、黒のセーラー服を着た女子高生だった。
「な、なんだあっ!?」
女子高生……みくりは目を眇めて、敵を見た。
上から確認した通り、総計5人。行ける。
「ちょうどいい、英睦月の前哨戦だ……!」
呟き、床を蹴る。
それはもう、一方的な戦いだった。
みくりの身体能力は群を抜いている。寄せ集めでしかない実行犯四人は、なすすべがなかった。あるものが人質の少女を腕に捕えて威嚇するも、みくりはただただ冷たい目で容赦なく男の延髄に攻撃を食らわせた。
やがて、それを見ていた人質たちも悟ってしまう。この女子高生は、敵ではないが、味方でもない。自分達を助けにきたのではなく、何か別の理由が彼女を動かしているのだと。
そしてそれは、どうやら怒りと興奮と……歓喜である。
事実、みくりは笑っていた。
可憐な容姿に似合わず、攻撃的な笑みで、時には残虐とも思えるようなことを平気でやってのける。
普通は曲らない方向に腕を曲げられ、苦悶の表情を浮かべる実行犯の背中に、隠し持っていたのを奪ったナイフを突立てる。
みくりのその無防備な背中に命中するはずの弾丸は、なぜか跳ね返される。
「ひっ……」
周囲を狂騒と混乱に陥らせたみくりは、最後の的を見据えた。
「……まったくもって、役立たなかったなあ」
一応拳銃を持たせた。だがしかし、蹂躙される哀れな部下たちを見て、リーダー格の男はため息をついた。
「あの女もしつっこいったらありはしない。いずれ、策を練らなければならないんだけど」
しかも、人質のことなど忘れたかのような暴れっぷりである。逆に人質が恐慌状態に陥り、それはそれであの女の思うつぼなのだろうが。
今、また一人倒された。これで残りは自分だけだ。
猛然と向かってくるみくりを面倒臭そうに眺めて、男は重い腰を上げた。
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