それから更に深い泥沼のような地獄が始まることを若い僕自身はわかってはいなかった。

今までの僕は、ただ普通の日本人男子として、特に目立つこともなく生活していた。

けれども会社を追われ、高山さんのいる施設に行き、それから徐々に僕の心の中で変化が起き始めたのだ。

それは今まで空けていなかった扉を不意に覗いてしまい

そこにとんでもなく深い泥沼があるのに、その周囲にある桃源郷に心惹かれていつかそこに行こうと心に決めるような感じがあった。

僕は知らなかった。この世界の　　を。

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