アイリス第七惑星
僕の妹の名前はあやめ。
アイリス第七惑星と同じ名前だ。
彼女はカルシウム質の皮膚に覆われていてずっと卵の中にいるみたいな状態だ。
でも母はそんな彼女に対してはそれほど残念がる風でもなかった。
いつかきっと殻を破って出てくるはず。だって人間ですもの。
そう言った母の目は虚空を見つめ、うつろな笑いをしていた。
母のキャンバスには鮮やかな色か使われている。
何枚か絵を見たけれど、どの絵にも必ず遠くの風景にアヤメの花が描いてあった。
話しかけると時々ほのかにピンク色に光が漏れるような気がした。
目に見えるようなものではなく、何となく感じ取れる程度のものだった。
アイリス第七惑星とは。木星と火星の間にある。アヤメと同じように、タルクの殻で覆われている。
僕の消失点の座標はアイリス第七惑星に一致している。
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