第37話 ひこうき雲
こんな季節の変わり目に
まあるい風が吹いてくる
その中にうっすら混ざる
花の香りをかぎ分ける
見上げた先のひこうき雲が
遠い空へとゆっくり伸びて
とてつもなくおだやかな
気持ちでそれを見送った
どこかに歩き始めるなら
こんなおだやかな時がいい
ほんの少しだけ冷たい風が
やさしく背中を押してくれる
キラキラこぼれる陽のカケラ
まぶしくて目を閉じて
まぶたの裏の光の粒が
涙になって落ちてくる
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