第33話 公衆電話

壊れた公衆電話から

つながるのは昔の風景で

もう戻れはしないその時が

まぶしくてそっと目を閉じた

置き去りにされた寂しさより

置き去った者の孤独の方が

タチが悪いこともあるなんて

あの日の自分に分かるすべもなくて

無意味に傷つけ合ったのは

幼さ特有の過ちで

今も流れ続けている血が

冷え切った体を温める

もしも願いがたった一つだけ

叶えてもらえるのだとすれば

この受話器を耳に当て

あの日のキミの声が聞きたい

まぶたに残る残像を

振り切るように目を開けた

もう戻れはしないそのときは

心に静かに降り積もる

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