第31話 夕暮れ

沈む太陽に影だけが伸びて

暗がりが近づく気配感じて

切れた靴ひもがやけに哀しくて

膝を抱えてその場にうずくまる

そこはかとなく降り積もる思いは

広がる闇へとじわり染み出して

助けてほしくて伸ばすその腕は

何もつかめずむなしく空を切る

この黄昏に存在は希薄で

慣れてしまったはずの孤独が痛い

痺れるほどに握った指先だけが

ここに在ることを強く主張する

沈む太陽に影だけが伸びて

暗がりが近づく気配感じて

せめて闇に飲み込まれぬようにと

顔を上げてその場に立ち上がる

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