第7話 街外れ
その灰色の街は暗くて寒くて風が頬を切る
もう慣れたはずの痛みに足をすくわれて
黙り込んだまま両手を強く握りしめ力を込める
苛立ちに体を震わせ窓ガラス殴りつけた
指の間を流れ落ちる血はどこかあたたかく
空っぽだったはずの心にぬくもりを与える
やわらかなマフラーに似たその感覚はなつかしく
溺れかけた僕をたやすく狂わせる
震えてるくちびるに刺し込む空気はどこまでも冷たく
歪んだ正気を少しずつ取り戻し始める
もうずいぶん長い間感じることのなくなった
やさしさの抜け殻を土足のまま踏みつける
コワシテシマエ コワレテシマエ 影も形もなくなるほど
頭に響くその声は一体誰のものだったか
体を蝕む破壊衝動を自覚してしまえば
温度のない涙が全身に伝いがんじがらめにしていく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます