第7話 街外れ

その灰色の街は暗くて寒くて風が頬を切る

もう慣れたはずの痛みに足をすくわれて

黙り込んだまま両手を強く握りしめ力を込める

苛立ちに体を震わせ窓ガラス殴りつけた

指の間を流れ落ちる血はどこかあたたかく

空っぽだったはずの心にぬくもりを与える

やわらかなマフラーに似たその感覚はなつかしく

溺れかけた僕をたやすく狂わせる

震えてるくちびるに刺し込む空気はどこまでも冷たく

歪んだ正気を少しずつ取り戻し始める

もうずいぶん長い間感じることのなくなった

やさしさの抜け殻を土足のまま踏みつける

コワシテシマエ コワレテシマエ 影も形もなくなるほど

頭に響くその声は一体誰のものだったか

体を蝕む破壊衝動を自覚してしまえば

温度のない涙が全身に伝いがんじがらめにしていく

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