ふわっとした刀剣メモetc

一江左かさね

一振目 登録証の数字から見えるもの

 登録証とは刀の形状、銘、登録組織、登録番号などが記されたもの。

 ここで記載される銘は、あくまでもなかごに刻まれたものであって真贋を現すものではないです。登録証と鑑定書は全く別です。昔はこれを利用し、偽銘を本物のように語って売りつける詐欺もありました。

 さて、これは日本刀の入手後すみやかに、記載された教育委員会に届け出ねばいけません。(たしか二十日以内)

 なお、古い登録証は文化財保護委員会、新しい登録証は教育委員会となっています。文化財保護委員会と記載されていても、教育委員会に送りましょう。しかし最近の登録証はラミネート加工されてしまって、扱いづらい上に味気ない事が不満です。


 一般的には昭和二十六年三月より開始とされます。

 ただし、東京文化財研究所の年史では、「刀剣登録審査は昭和二十六年二月から開始され、東京都は二月一日から三月三十一日まで国立博物館に登録事務所を特設し二日より登録を受け付け審査を始めた」とあるので、二月開始です。人によっては一月と言う人もいましたが、実際にはどうなのでしょう。

 制度開始時は、登録に行くと”GHQに没収されてしまう”といった噂が存在していました。そのため登録数が振るわず、当時の担当者は知恵を絞り旧華族などに率先して登録して貰いました。それで、一般の人が安心して登録を行うようになりました。

 このため一部の間では、昭和二十六年三月の登録を大名登録とも呼称されます。ただし、これは俗称の域を出ないため、普通の刀剣屋では使われない呼称です。


東京都の番号(大まかに)

  昭和二十六年三月五日:五千番台(間違いではない)

    〃   三月六日:二千番台(間違いではない)

    〃   三月十二日:二千番台(間違いではない)

    〃   三月十六日:七千番台

    〃   三月二十三日:九千番台番

    〃   三月二十九日:一万七千番台

    〃   三月三十一日:三万二千番台

    〃   七月三日:三万五千番台

  平成二十年十月二十一日:三十万番台

  平成二十六年七月十六日:三十一万番台

 なお、これは東京都だけでの登録数です。

 上記から分かるように、三月下旬で急激に登録数が増えており多数の人が登録に押しかけたと推定されます。大名登録という言葉は、この辺りの動きも知った上でどういった類の言葉か考えるべきでしょう。


 三月頭で番号が前後していますが、これは登録箇所が複数設置されていたためでしょうか? いきなり三千も番号がずれています。ここから分かるように、登録証には記載ミスは稀にあります。稀……よりは多いかも。

 特に昭和二十六年三月登録は誤記が多く、入手後の申請時に問題が発生する事がままあって困ります。実際にあった事としては、以下。

  例:無銘と記載すべきを、無銘伝○○と記載(書き足したものではない)

  例:寸法を間違えている

  例:昭和二十六年を昭和二十五年と記載ミス

 などなど。

 一つ目はそのままでOK。

 二つ目は再申請確実。

 三つ目は担当者としばし遣り合うも、やっぱり再申請。

 再申請面倒なんですよね。しかも登録側のミスなのに、登録側の担当者はさも新たな所有者が悪いような口ぶりで……。

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