澪の友達SIDE

今日も澪と、学校に行く。

桃音はいつもギリギリに来るため、いつも私は澪と2人で学校に通っている。


「澪ー!澪、おはよー」

「おはよう!今日も寒いね〜」澪はいつも元気に挨拶を返してくれる。


「澪、またパーフェクトなんだってね、すごい!」

「あ、まぁ…」澪は曖昧な返事をした。

「ねぇあんたの頭どーなってんのー?勉強教えてよ〜」


「…分かんないけどごめん。時間、ないんだ」

この時、澪はどこか物悲しげな目をしていた。


そして…私は今のセリフを頭の中で反芻し響かせた。


- 分かんないけどごめん。時間、ないんだ -


どういう意味だろう。なぜ時間がないの?

何か聞いてはいけないことを聞いてしまっただろうか。

私は反省し始めたところだった。


その時、

「澪っ!お前、…○△☆◇」

振り返ると見た目からしてこわい、性格がキツそうなオバさんが澪に向かって怒鳴っていた。

とっさに襲われたパニック。

その時聞こえた声といえば恐ろしすぎて続いた言葉を私は覚えていない。


「ごめんなさい…」澪が細々しく呟いたところで意識が戻った。

びっくりした衝撃で雪の上に尻餅をついてしまっていたようだ。


「「大丈夫?」」


私と澪は同時にお互いを心配し始めた。



先ほどの出来事を通して、私は澪に聞きたいことがたくさんあった。

「それで、さっきの人は?」

「えっと…叔母さん かな」

「なんであんなに怒ってたの?」

「…」

澪は下を向いてしまった。髪の毛とマフラーで表情が読み取れない。


能天気な日光が私たちを照らす。澪の小粒の涙が太陽の光に反射して光った。


澪は、涙を流した。


ああ、また聞いてはいけないことを聞いてしまった。さっき反省したばかりではないか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る