暇な大学生のグダつき

早川トイレ

12月9日

今日はひどく寒い。

冬なのだから当たり前と言えば当たり前だ。

しかし、寒いと風呂も嫌だし洗い物も嫌になって来るし、とことん何もしたくなくなる。

2カ月ほど前より内定先から「読め」ということで送られてきている新聞も、ただ郵便受けに蓋をするだけになってしまっている。おかげで社会情勢などはアメリカと韓国で何かが起きてるという程度しか分かっていない。

ただちょっと外に出て郵便受けから引っこ抜けばいいだけの話なのにそれさえ出来ないというのはこれから待ち受ける社会人としての生活が思いやられる。


あと1カ月近くを3万円で過ごさなければならない。

「そんなに使えるではないか」と思われるかもしれないが、ご察しの方もいるだろう。忘年会シーズンだ。

サークルのものしかないのでまだ救いはあるが、たとえ1つとしても財布には莫大なダメージが来る。

なので普段の食事を一層貧相にしなければやり過ごせない。

こんな寒い時期に何をしてるんだとは思うが、諸々出費がかさんだので仕方がない。


しかしただ座って待っているだけでいいという魅惑にやられて、金が無いというのになか卯へとやってきてしまった。

バイト後なので時間はPM11時過ぎ。

僕のほかには1人の大学生がいる。


この時間に一人で食事をしているというだけで何となく仲間意識が芽生える。


スマホでまとめサイトを眺めているうちに注文したカツ煮定食が運ばれてくる。

いい世の中だ。

久しぶりのまともな食事を頬張っていると、学生のカップルがやってきた。

するともう一人の学生へ寄って行くではないか。

どうやら知り合いらしい。

これまで全く感じていなかった孤独感が急激に大きくなる。


そこからはもう高速で食べ進めて、嫌いなひじきの煮物をお茶で流し込んで足早に去った。

外は寒かった。

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