第9夜 シドと白昼夢

2016/09/13

高気圧のせいで再び蒸し暑くなってきた秋の夜、雨が屋根を叩く。


あの日以来、私の心は少し安定している。野生のような本能に任せた生き方は、今後の人生を左右するので、非常に良くないが、抗えない。


結局は、落ち着きたいのかもしれない。煙草を吸おうと、その目が偽物であろうと、金髪でも。私の居場所だと、思えればそれが理想なのだ。





午前4時をまわっていた。別れ際、彼女はなぜあんなに寂しい眼をしたのだろう。あの表情が忘れられない。仕事が手に付かず、目の前に白昼夢が広がる。

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