SS

Botan

第1話

「触れそうで触れない距離」



ガラスケース越しのケーキ

ショーウィンドウのディスプレイ

淹れたての紅茶から立ち上る香り

シャボン玉の内側

どこからか聞こえる雀の声

降り出した最初の雨粒

似合わないハイヒール

紅い口紅

ひとりの時間

大好きな音楽の中

雑踏の白昼夢

瞼の裏の君

嫉妬と焦燥の中で明日へ向かう気持ち

喉元まで出てきた素直な言葉

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