番外編 美緒奈様を看病しよう!

 季節の変わり目。

 春の陽気になったと思えば、冬に戻って。


 風邪を引いて寝込んだ美緒奈みおなを、由理ゆーりはお見舞いにきていた。


「ちゅっ……んくぅ。む、ふぅぅ……っ♪」


「んぷ、ふぷ……ぷはっ」


 埼玉は所沢市の、美緒奈の家で。

 寝汗の匂いに羞じらう美緒奈をぎゅってしながら、唾液を吸う……。


 けれどこれはお見舞い!


「んっ……ど、どう? リクエスト通り……スポーツドリンク、口移ししてみたけど」


「ん……♪ あたし、風邪で物の味分かんないけど……」


 熱か、ドキドキか、顔を真っ赤にした美緒奈が、パジャマ姿でにこっと微笑む。


「由理のキスの味は、分かるよ。……すごく、甘いね♪」


(う、うぐ。な、なんか今日の美緒奈、可愛い……)


 髪を下ろした美緒奈は、いつもより弱々しくて……それが可憐で。

 由理はなんだか、きゅんきゅんしてきてしまった。


「ば、ばか。調子狂うじゃない。早く、元気になりなさいよねっ」


 このまま看病してたら、美緒奈を押し倒しちゃうかも。

 前に彼女が(強制的に)貸してきた、えっちな百合アニメそのままの展開になりそうで……由理は逃げ出そうとするけれど。


 ……ぎゅっと、美緒奈が袖を引いてきた。


「待って。……そ、そばにいて……ほしいな」


「ちょ……ほんとに、らしくないってば」


 こんな素直な美緒奈、レア過ぎて。でも、すごく可愛い一面を見た気がする。

 美緒奈は羞じらいに真っ赤になり、視線を逸らしながら、熱い吐息を漏らしてきた。


「らしくなくたって、いいの。病気の時くらいさ……す、好きな人を独り占めしても、いいでしょ?」


(か、可愛い……っ!)


 由理も真っ赤になって、黙ってしまう。

 お互いの心臓の音がやけにはっきり聞こえるくらい、静かな放課後。


「ね……あたしの汗、拭いてよ。『その花』のアニメみたいに、さ」


 美緒奈も同じこと考えてた。

 アニメだとこの後、汗を拭いてるうちに、えっちな気分になった百合ップルは、そのまま……。


「……い、いいの? 私、止まらないよ……?」


 由理の中で、何かがプツンと切れた。

 ぎゅっと美緒奈の手を握って、迫る。


「何されても、いいよ。ううん、触られたいの」


 美緒奈は、恋するラブラブ乙女全開の、いじらしい仕草で。

 にこっと、天使の羽根が舞う笑顔を見せた。


「だって、あたし……由理が、大好きだもん」


「ら、らしくないってばぁぁぁー!?」


 でも可愛い!

 由理はもう理性がぼかーんしちゃって、美緒奈をベッドに押し倒してちゅっちゅぱするのだった!


「んっ♪ む、ちゅぷぅ♪ ちゅくぅ、ちゅくぅっ♪ ふ……んんぅ♪」


「ちゅぱ、ちゅぱぁ♪ んっ、ふぁ、ああんっ♪ ゆ、由理っ、由理ぃ♪ ちゅぱぁっ♪」


 着衣を、シーツを乱して。指を絡めて激しい運動。

 早く風邪が治るようにと、美緒奈にいっぱい汗をかかせる由理。


「ちゅー♪ ちゅぅぅ、ちゅぅー♪」


「ちゅぷっ、ちゅぅ♪ ちゅ……ちゅちゅっ♪ ちゅぅん、ちゅぷー♪」


 2人が裸か、裸じゃないかは、ご自由に妄想してください。


「んっ♪ キス、甘いよ……♪ ね、由理も……あたしのこと、好き?」


「ばかぁ……んく、ちゅぅぅ♪ す、好きに決まってるでしょ。ちゅ、ちゅぅっ♪ 好きよ、美緒奈。美緒奈っ……好きぃ。愛してるっ……、ちゅ♪」


 ※ ※ ※


「ね、熱のせい! 美緒奈の熱が伝染うつったせいなんだからねー!?」


 ……翌日。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」にて、元気になったツインテールメイド美緒奈に、昨日のことをからかわれて、由理は赤くなった。


「にひひー、由理ってば、美緒奈様のこと愛してるんだー♪ いやー照れちゃうぜ」


 小悪魔スマイルで目を細める美緒奈、獲物をいたぶるネコの顔。


「激しかったなー、昨日の由理♪ あたし、いっぱいキスされちゃった♪」


 頬を押さえ、きゃっ♪と照れるふりの美緒奈。リズさんや季紗きさにまで自慢する。


「ふわぁぁ、由理ってば大胆ね。わ、私も、看病されたいな……♪」


「リズさんっ、なら2人で、全裸になりましょう♪ 全裸でお仕事して、風邪を引くんですよ……!」


 その後もさんざん、からかってくる美緒奈へ、由理は。


「こ、この小悪魔ぁぁぁぁぁ! ……でも好き。ちゅっ♪」


「ちゅっ……♪」


 仲良く、百合キスするのでした。

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