雪をも溶かす唇を。

 冬の夜、東京の空に冷たい雨。

 天気予報だと、雪が積もるとも……?


「ごめんなさいね、今日は早く閉めるんです……」


 由理ゆーりが手を会わせ、お嬢様たちへ謝る。

 女の子たちが、雪で家に帰れなかったら大変なので。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」も、今夜は早く店じまいだ。


「で、では……こほん」


 頬を染めて由理、お客様をお見送りする時の、お決まりの台詞を。


「『行ってらっしゃいませ、お嬢様♪』、ちゅっ♪」


 こうして、お嬢様たちを百合接吻(もちろんマウストゥマウス)で送り出すのが、百合メイドのたしなみです。


 さて、けれど中には、帰りたくない女の子も……。


「ゆ、由理お姉さま……。円美まるみ、泊まっていってはダメですの?」


 小柄で可憐な中学生、常連の前園まえぞの円美まるみお嬢様。


 由理にピトッと抱き付いて、瞳を潤ませる円美ちゃん……。


(ううっ、可愛い……)


 年下の女の子の甘い匂いに、ついドキマギしちゃう由理を、美緒奈みおな様が見てた。


「その子中学生だろ、店主マスターがダメって言うぜ?」


 言ってることはまともだけど、「あたし以外とイチャつくな」って、瞳が語ってる。


「うぅ、わかったわよ……」


 美緒奈の視線の圧力に負けて由理、円美お嬢様の肩を抱いて、顔を近づけさとす。


「ね、お嬢様。貴女にはご家族も、帰る家も有るでしょう? それは、大切にしないと、ダメですよ」


「うぅ、で、ではでは、お姉さまっ!」


 基本、とても良い子な円美お嬢様、お泊まりは諦めたけど、最後におねだりを……。


「いっぱい……キスしてくださいませ。円美が、寒くないように」


「はい、お嬢様。……ちゅぅっ♪」


 ちゅぷっ、ちゅぱ……ぬちゅぅ、ぬぷ。


「うふ……ん♪ お姉さま、円美、とても暖まりましたぁ♪」


「も、もう、お嬢様ったら。では、行ってらっしゃいませ♪」


 舌をちゅぷちゅぷ挿れてくる可愛い後輩に、由理も赤くなりながら。

 たっぷり百合キスして、お見送りするのだった。


「……由理、あの中学生とキスし過ぎ。ロリコンなわけ?」


「な、なに怒ってるのよ。円美ちゃんは大事なお客様であって……」


 言い訳を始める由理へ、キュートな美緒奈様のやきもちが炸裂です。


「う、うるさぁい! 恋人のあたしには、今の10倍はキスしないと許さないかんね!?」


 ツインテール振り乱して、由理に抱きつく美緒奈。

 そのまま目を閉じ背伸びして、震える唇で……。


「ちゅっ♪」


「んぷ!? むりゅぅ、ぬちゅぅ!?」


 最後のお客様も帰った「リトル・ガーデン」にて。

 次第に雪に変わる雨音もかき消し、ぴちゃぴちゃと。


 甘く淫らな水音立てて、羞じらう百合乙女たちは舌を舐めすすり合う。


「ちゅぷっ、ちゅぷっ♪ ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ……ちゅぷぷ、ぷちゅぷぷ♪」


「んぷぁ、ふぁ……♪ ん、ちゅぅぅ♪ ふ、ちゅぱぁ♪ んっ、ちゅむぅ……♪」


 円美お嬢様には悪いけど、何倍百合キスしただろう。

 てらてら光る銀糸で愛を彩りながら、美緒奈がうっとり微笑んだ。


「えへへ……♪ あたしは高校生でオトナだし……泊まってっても、いいよね?」


「う、うん……」


 負けずに羞じらいうつ向いて、由理も美緒奈の唾液をペロリ。


「と、とりあえず……シャワー、浴びよっか?」


「もっと、キスしてからな♪」


 ……ちゅっ♪

 そして、お風呂でも裸で百合キス。

 ベッドでも百合キス。


 雪も冬将軍も吹き飛ばす熱々キスに、二人は寒さなんて忘れるのでした。


「ちゅー♪ ん、ちゅぅぅぅー♪ ちゅる、ちゅぅ……ぢゅぽぁ♪」

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