ときめきハロウィン週間② ゆりキュバス降臨。

「ゆりっくorゆりーと♪ お菓子をくれないと、私が脱ぎます♪」


「ストリップはだめぇぇぇ!?」


 ハロウィン週間中の百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」。

 下着姿から、さらにブラのホックを外そうとする季紗きさを、魔女っ娘姿の由理ゆーりが全力で阻止。


「だ、だいたい、なんで下着なの!? このエロ乙女っ!」


 色はクリーム色で、レースたっぷり、可愛さとエロさが同居した、あまエロとでも呼ぶべき下着姿。

 そんな季紗のせくしーランジェリー姿に、由理は赤くなって顔を隠しつつ、


(うっわ、エロっ。な、なんで私、ドキドキしてるの?)


 目は離せなくて、戸惑うのだった。


「ふふ、これはね由理。えっちなサキュバスさんコスなんだよ♪」


 季紗いわく、ただの痴女じゃないらしい。


 サキュバス……夢魔、淫魔などとも呼ばれる、女性の悪魔。

 人間にえっちな夢を見せて、精気を吸い取ると言われている。

 キリスト教圏において、真面目なシスターの女の子がえっちな百合夢を見た時、「こ、こんなはしたない夢、私が望んでるはずありませんわ! 夢魔の仕業です!!」と羞じらったりするのである。


「ハロウィンのコスプレだから! 下着姿でも合法だよね! 合法だよねハァハァ♪」


 脱ぐとけっこうすごい季紗の華麗なプロポーションに、お客様達も赤面しつつ「きゃー、お姉さまきれい♪」なんて盛り上がって……やっぱりこのお店、変な子が多い。


 コーヒーを淹れながら店主マスターとおるお姉さん、ちょっぴり頬を染めて。


「……うん、さすがにパンツとブラだけはまずいね。リズ、季紗を止めてくれる?」


「ふふ、了解です。こんなこともあろうかと♪」


 吸血鬼コスのリズ、白いレオタードを取り出す。


「季紗ちゃん、下着はNGだけど、このレオタードならセーフよ。悪魔の羽根カチューシャも用意してあるから、こっちにして?」


「用意良すぎるねリズさん!?」


 魔女っ娘由理がツッコむ。

 季紗が裸になろうとすることを、見越しているようだ。というか見越してた。


「おおー、こ、これも良いですね。生地が透けそうに薄くて……え、えっちです♪」


 レオタードを着た季紗。

 なかなかに豊満な胸で生地がすごく引っ張られて、弾けそう。


 由理がまたも視線を奪われてドキドキ。


(うわ……季紗のボディラインがくっきり分かって、エロっ。下着姿よりまずいんじゃ……?)


 なんでこっちはセーフなのか、基準が分からない由理であった。

 そんな彼女を置いて、季紗がリズに抱き付き、お胸にほっぺスリスリ。


「ありがとうリズさん! やっぱりリズさんは、私の理解者だよぅ♪ ……ちゅっ♪」


「ふふ、季紗ちゃんがしたいだろうコスプレは分かるの♪ 貴女のことなら、ずっと見てきたものね。……ちゅぷぅ♪」


 そのまま百合サバト……夢魔と吸血鬼のコスプレ姿で、百合キスを始める2人。


「ちゅむぅ♪ ん……、るぷぅ、ぬっぷ。くぷぅ、ちゅぷぅ♪ ん、ふぅっ……ずちゅぅぅ……♪」


「ふぅっ……く、んむぅ♪ ちゅ……んくぅ、ぷ、ちゅぷ……♪ ふぁ、ん、むぅぅぅ……♪」


 女の子同士で唾液を吸い合う……サキュバス&ヴァンパイア。

 悪魔的に淫靡で蠱惑的な光景。


「ちょ、ちょっと、季紗、お仕事中なんですけど? リズさんを独占し過ぎじゃない?」


 ちゅぶちゅぶ音を立てて接吻に夢中な2人を、赤い顔のまま由理が睨むと。

 むっとした顔の狼少女美緒奈みおな様、


「……由理、ジェラシー?」


「ふぇぇ、ち、違うってば!? な、なんでそうなるのよぉ!?」


 魔女っ娘由理が図星を突かれて焦る。

 美緒奈、ふんっ、とそっぽを向いたツン顔で羞じらいながら、


「キ、キスしたいなら……あたしがしてやるっての。ばーか」


 ちゅっと、由理の頬に口づけするのだった。

 なにこれ恋人みたい。

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