少女群像編③ 乳ハンターVSくーるびゅーてぃ(前編)

 放課後の百合女子校生たちの、いこいの場……百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」で今、話題になっているのが。

 リズ考案の新作スイーツ、「クリームと愛がたっぷり♪ ぷるぷるシュークリーム(改良版)」である。

 メニューには、「クリームが必ず、そう必ずこぼれるので、お洋服に気を付けてね♪」と注意書き。


 ずっしり中身が詰まって、今にも弾けそうなそのシュークリームを前に。

 黒い短髪の少女が、喜びで瞳を星にする。


「こ、この食欲をそそる甘い薫り……あの噂は本当なのねリズさんっ。貴女のミルクが隠し味というのは!!」

「あのね、るんちゃん。そのネタはもういいから」


 リズにとっては学校のクラスメートで、来日以来の友達である少女、後條ごじょうるん。

 彼女の期待の視線に、入ってないわよ?と頬を赤らめ胸を隠した。


「えー、入れようよ母乳。リズさんのおっぱい、触るだけじゃ私もう足りないしさ。とりあえず抱きっ」

「きゃぁっ!? もう、いつも私の胸に頬ずりして……赤ちゃんみたいよ?」


 金髪巨乳メイドに抱き付き、胸に顔を埋める女子高生……母性を感じる光景が、喫茶店内に現出する。

 でも、そんな光景を目に、隣のテーブルで、


「ふんっ、乳乳ちちちちうるさいですね。女の魅力は胸などではなく……クールなオトナの落ち着きだと思うですが」


 優雅にティーカップを傾ける、メイド服の少女。

 その胸は、絶壁だった。

 白い髪に、白い肌。

 雪の花のように可憐な、ハーフの女の子、上代かみしろふぶき……季紗きさの家のメイドさん。

 見た目は小学生並みのミニマムサイズだが、落ち着きのある物腰は、まさにクールビューティ。


「ふ、高校生の貴女にオトナの魅力は早いですけどね。……熱いれす!?」


 紅茶で舌を火傷! くーるびゅーてぃ眼を回す! 落ち着いて!?


「だ、大丈夫、ふぶきさん? シュークリーム食べる?」


 舌を冷やそう、と季紗が、噂のシュークリームを差し出す。

 涙目のふぶき、受け取って、大きく口を開け……かぷり。


 ぶぴゅるぅっ。

 クリーム飛び出た!


「やぁ、っ、白いの、出すぎぃっ」


 ふぶきのあどけない顔を、前髪を、どろっとした白いモノが汚す。(注・クリームです)


「こ、こんな濃いの、お顔にいっぱい……べとべとです」


 アイスクリームに練乳ソースを垂らしたように。

 可憐な雪の妖精の、整った鼻先からあごまで、濃厚な白い液体が垂れた。(注・クリームです)


「た、大変、ふぶきさん♪ 私が舐め取ってあげるね♪」


 狙っていたのだろうか。

 季紗が眼をきらきらさせてハァハァ。ぺろりと狩人の舌なめずり。

 桃色の舌を子犬のように垂らして、濡れたタオル替わりに。

 ふぶきの頭を両手で押さえて、頬も、唇も……上唇と鼻の間のくぼみまで、丁寧にクリームを舐め取ります。


「ぺろぺろ♪ ふふ、お嬢様、まだ汚れてるところはありますか? ……ちゅぅっ♪」


「ふぉあぁぁぁ季紗お嬢様ぁぁぁぁぁぁ!? そ、そんなトコロまで舐め舐めされて、ふぶきは果報者れす♪ そしてこのシュークリーム考えた人は天才ですかぁっ!?」


 オトナの落ち着きどこ行った。

 大好きな季紗にペロペロされて、小さなクールビューティふぶき、溶けちゃいそう。


 それを暖かく見守ってリズ、自分が考案したメニューで女の子達が喜ぶ姿に、満足の模様。


「ふふ、喜んでもらえて何よりですわ♪」


 一方、乳ハンターるん。対抗心を燃やす!


「ぐぬぬ、やるわねこのメイドさん、こんなえっちなトラブルを自然に起こすなんて! けど3年通い続けてる常連として、負けられないわっ!!」


 このシュークリームを使って、もっとえっちなコトを!

 アイデアを捻り出すべく、シュークリームを凝視する。


 ちなみに。

 きちんと顔拭き用タオルを手に待機する由理ゆーり


「いや別に対抗しないでいいから。お掃除大変なんですけど……」


 そっと抗議するのだった。

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