少女群像編① 宮野さんと早乙女さん(前編)

【ひとつだけ補足。宮野さんと早乙女さんは、別の完結作品「百合魔法少女マジカル☆リリィ」のメインだった2人で、いわゆる前作主人公枠です】


 美緒奈みおなのクラスメート、百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」でも非常勤でアルバイトしている、2人の少女。

 栗色ショートカットで明るい印象の宮野りりなと、黒髪ロングで巨乳(店内ではリズに次ぐサイズ)の、早乙女さおとめ早百合さゆり

 ある日の高校にて、百合メイド女子高生の彼女たち、にこやかな笑顔で美緒奈を、部室へ招き入れるのだった。


「百合部へようこそ、みーちゃん! みーちゃんが最初のお客様だよ♪」


 りりな、お祝い用のクラッカーを鳴らして盛大にお出迎え。

 早百合の拍手を受けながら、美緒奈は首を傾げる。


「あれ、ここって生徒会室じゃなかったっけ。つーか百合部ってなにさ?」

「ふふ、私達が新しく作った部活よ」


 黒髪ロングの早百合、胸を張る。大きい。

 隣で宮野りりな、指を振りながら説明。


「百合部はね、みーちゃん。この学校の全ての女子生徒と女性教師を百合に目覚めさせ、百合の素晴らしさを世界へ発信していくという崇高な目的のために作ったんだよ。活動内容はたくさん考えてるけど、まずは恋愛相談かな。もちろん女の子同士限定でっ!」

「よく学校の許可でたね!? 部室異様にゴージャスだし!?」


 百合部とやらの部室を見回し、美緒奈は驚愕。

 確か前は生徒会室だった部屋は、可愛らしいカーテンをはじめ、内装がピンクピンクに染められて。

 無骨な天井の蛍光灯は外され、煌めくシャンデリアに。

 部屋の机には緋色のテーブルクロスが掛けられ、パイプ椅子の代わりに座り心地のいい豪華な椅子が置かれている。

 もはやベルサイユ宮殿レベルだ。


「いやー予算たっぷりもらえちゃって。ホント生徒会長と先生方には感謝だよ。まっ、これも私達がカラダを張って百合の素晴らしさを説いたからこそだよね、早百合♪」

「ふふ、生徒会長が女の子で良かったわよね、りりな。カラダで百合の素晴らしさを理解してくれて♪」

「あんた達会長にナニをしたーッ!?」


 この前の全校朝礼で、美人で人気の生徒会長が「我が校ではこれから……女の子同士の恋愛を奨励しますっ!」とか宣言した時は、壊れたかと思ったけど。

 どうやらりりな&早百合にナニかされたらしい。


「まーまー、とにかくさ。これから私達百合部は、悩める女の子のため全力で活動していくからよろしくっ☆  みーちゃんもほら、気軽に相談してよ♪」


 お姫さまみたいな椅子に美緒奈を腰掛けさせ、栗色ショートの宮野りりなが手を握る。

 黒髪ロングの早乙女早百合も、にこにこしながら、


「ねっ、みーちゃん、気になる女の子とかいないの? 女の子ね、女の子限定!」

「はぁ? そんなのいねーし! 気になる女子なんてい、いるわけねーから!?」


 ぼぼぼっと頬を焦がせて、八重歯をちらりさせる美緒奈。

 ツインテールがびくんっと跳ねる。


「うわ、絶対いる顔だし♪」


 恋する乙女全開な美緒奈の表情に、りりなの瞳が期待に輝く。


「ねっねっ、その子とはどんな関係!? どこまでイッてるの!?」

「ど、どこまでって……」


 消え入りそうに恥ずかしがりながら、美緒奈ぼそぼそと。


「そ、その……毎日キスはしてるけど。1日10回くらい。でもそれだけだぜ。抱き合ったり、キスしたりするだけ」

「……それはもう恋人同士じゃないのかな?」


 りりなは思うのだった。

 一方、耳を傾けていた早百合、うーんと考え込んでいたようだが。


「……ねえ、みーちゃん。気になる女の子って」


 顔を近付け、美緒奈の瞳を覗きこんで、


「もしかして……お店の人?」

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