幕間 人間の唾液の持つ、殺菌能力について

 ある日の百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、休憩中に。

 バックのロッカー兼休憩室で。

 

「あくんっ……むにゅぅ……♪」


 白い掌で頬を包み合って、赤毛ツインテールのロリメイド美緒奈みおなと、金髪縦ロールの巨乳メイドリズが、瞳を潤ませ百合キスChu《ちゅう》です。


「ふぁぁ……すっげー伸びる♪」


 美緒奈を感激させたのは、リズお得意の唾液レインボーブリッジ……てろろと伸びる熱くて甘い銀の糸。

 泡立つ蜜に休憩室の照明が反射してキラキラ、クリスタルのように綺麗だ。


「ふふ、お母様直伝の技よ。キスの時に、お口の中にたっぷり唾を溜めるのがポイントなの♪」

「ふぁぁぁリズさん! 次私! 私とお願いしますっ♪」


 ぺろりと唇を舐めつつウインク、星を飛ばすリズへ。

 発情子猫モードの季紗きさが銀糸結合を志願する。


「れちゅぅ……♪」


 さらさらで清純な薫りの、季紗の亜麻色の髪がリズの頬に触れる。

 零距離密着で熱を伝え合うピンクの唇、れるれろ戯れる口舌こうぜつ。えっちだ。

 そして、名残惜しそうに唇を離せば。

 ドキドキ興奮した顔でリズ、


「ふぁ……どうかな、季紗ちゃん。おっきな橋が出来たわ?」


 糸というより縄のような、液状プラチナ唾液橋。

 女の子の味のそれを、変態お嬢様季紗はずるるっと吸引して頬を染めます。


「ああっ、レモン味♪」


 おお、これは天国の光景か。

 可憐なる乙女達がちゅっちゅし、ぴちゃぴちゃし、てろーんする。

 唾液の銀糸は、愛の架け橋。聖なる百合の絆橋。

 でも、一人だけ付いていけてない少女が。

 西城さいじょう由理ゆーりさん、17歳である。


「……いや。何ていうか、その、さぁ」


 淫靡すぎるぬるぬる唾液に、もじもじしながら。


「その、ばっちくない……?」

「……」

「……」

「……」


 20××年! 世界は吹雪に閉ざされたッ!!

 地球軌道を凍り付かせ、生きとし生ける者を阿鼻叫喚へと叩き込んだその氷結地獄は!

 自称ノンケの一人の少女の、不用意すぎる発言から始まったのだッ!!

 YouはShock! 百合を取り戻せ!!(@北〇の拳)

 簡潔に言えば、由理が、リズさん泣かせた。


「ばっちくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!」


 優しい百合を持ちながら激しい怒りに目覚めた季紗が、黄金のオーラに覚醒して叫ぶ!

 スーパーサ〇ヤ人みたいだ!!


「由理っ! 貴女はなにも知らない!! 人間の唾液にはリゾチームとかラクトフェリンとか殺菌抗菌作用を持った成分がたくさん含まれていて口内の雑菌の繁殖を抑えたり食べ物に付着したばい菌をやっつけたりして人体を護るっていう大事な働きが……とにかく、唾液は清潔なんだよ!?」

「ふぇぇ、ひどいわ由理ちゃん。お母様と私の、修行の成果を……」


 巨乳を揺らしながら、ロリロリしく泣くリズ。

 子供っぽい泣き方がちょっと可愛いとか思いながら、由理も慌てる。


「あわわ、ごめんなさいっ!? 別に泣かせるつもりは……!?」

「……由理、さいてー」


 リズをぎゅぎゅっと抱き締め慰めてあげながら、美緒奈がさげすんだ瞳を。


「リズ姉の唾液だぞ? 初摘みレモン味のお姉さまジュースだぞ? 綺麗にきまってんじゃん!」

「……謝って、由理」


 静かに言う季紗。


「謝って、リズさんに。そして銀糸先生にっ!!」

「銀糸先生って誰!?」


 とにかく由理、リズに泣かれ、季紗と美緒奈に叱られ……なんだか本当に悪いことをした気分になってきた。

 リズへ頭を下げて、


「えと、ご、ごめんなさい……」

「くすん。キスしてくれたら、許す……」


 こうして今度は、由理とリズの唇の間に、日英友好の銀の橋が架かるのでした。

 ちゅぷぅ、ずぷ♪ 由理、子犬みたいにハァハァしながら、感動。


「ふわ、ホントにレモン味ぃ♪」

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