12月5日
なかなか恋人をするということを、うまくこなすことが出来ない。
まず、恋人をするための第一条件である、朝起きて一番に恋人をしている相手の人の名前を呟くということが出来なかった(朝起きると、私はいつも「ああよく寝た」だの「いい朝だなぁ」だの呟いてしまう。また、起き抜けにすぐ恋人をしている相手の人の名前を思い出すことが出来ないのだ)。
それから、最低でも日に三回は恋人をしている相手の人のことを考えてため息を吐くべきなのに、私はそれが二回だけになってしまったり、恋人をしている相手の人のことではないこと(例えば、夕飯の献立だとか)を考えてため息を吐いてしまったりする。
他にも、相手の人のことを思って切なくなりながらメールを打つことも(どうしても単調な近状報告になってしまい、相手のことを思うことも、切なくなることも出来ない)、相手の人の好みを考えながら料理の味付けをすることも(気付くと自分好みな味になっている)、相手の人が喜びそうな贈り物を探すことも(途中で飽きてしまい、ただのウインドショップになってしまう)、うまくこなすことが出来なかった。
恋人をしている相手の人は、落ち込む私に慰めの言葉をかけてくれる。
「大丈夫ですよ。これは、いわば、訓練ですので」
私は力無くなるほど、と呟いた。
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