10月5日

 お隣の加藤さんが訪ねてきた。

 私と加藤さんはいつものようにきっかりと十五分間雑談をする。

 雑談の間、私はずっと加藤さんの鼻の頭から生えている赤いきのこが気になってしまい、気の抜けた相槌ばかりだった。

「そうそう、カツオのたたきに使う棍棒を貸してくださらない?」

 ちょっとなくしちゃって、と朗らかに笑う加藤さんに、つい、きのこのことは言いそびれてしまう。

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