受話器を取る

ガチャ




『……………悪き神は去ったようですね。


お疲れ様でした。

そして、ありがとうございました。


あなたのお陰で、悪き神に惑わされた人々を救うだけでなく、悪き神を退けることも出来ました。

大変感謝しています。

あなたのようにコールに応えてくれる人間が居て、とても助かりました。




この世界には、私の力だけでは救うことの出来ない者が大勢居ます。

悪き神が言っていましたが、その通りなのです。

どれだけ酷い目に会っていたとしても、助けを求める声が私の元へ届かなければ、私はその者の運命に干渉する事が出来ません。

一人でじっと耐え、もうこれでいいのだと諦めてしまった者は、救うことが出来ないのです。





だからこそ、あなたのような存在が必要なのです。

あなたのようにコールに応える者が居れば、それを通じて私は助けを求める者を救うことが出来るのです。


例え、あなたが直接助けることが出来なくともよいのです。


助けを求めている声が誰かに届くということ。

自分は一人では無い。話を聞いてくれる誰かが居るということ。

それが分かるだけで救われる命はあるのです。


今回、あなたに救われた者達が言っていた感謝の言葉。あれは私ではなく、あなたに向けての言葉だったんですよ?

自分達はあなたに話を聞いて貰えたから救われたのだと、皆さんそう感謝していたんです。


胸を張ってください。あなたは、大勢の者を救ったんです。

本当にありがとうございました。







長々となってしまいましたが、そろそろお別れです。

本来ならばこのように我々や悪き神のような存在と繋がってしまうことはよくない事なのです。

あまり普通の人間が我々と関わると、存在が昇華される事があるので……

そのため、私との繋がりを切るだけでなく、悪き神からもあなたには干渉する事が出来ないように封印しておきますね。

このコールが終わり次第、この回線は使えなくなる事でしょう。



出来れば、今後も助けを求めている者が居れば、その声を聞いてあげてください。

全ての人間が救われるわけではないですが、それで救われる者も居るのですから。



それでは、本当にありがとうございました。

あなたに、運命神の加護がありますように。』




ツー ツー ツー

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