「館もの」ではありません『絶叫城殺人事件』有栖川有栖 著
『絶叫城殺人事件』プレビュー
まさかの
『
もし私が森に住む木こりで、木を切っている最中に手が滑って、持っていた斧がそばにある泉に落水したとしましょう。で、泉の中から出てきた神様に、こう問われたとしましょう。
「お前が今まで読んだ本格ミステリの中で、一番面白かったのは何だ?」
私は恐らく、「『絶叫城殺人事件』か、『薔薇荘殺人事件』(鮎川哲也 著)のどちらかです」と答えると思うのです。それくらい本作が好きです。
~あらすじ~
東京のホテルで原稿執筆のため缶詰にされていた
やがてすぐに、それは「
「ナイト・プローラー」を名乗る
無作為に被害者を選出して殺していく、いわゆる
殺人鬼ナイト・プローラーの正体が暴かれるとき、どす黒い真実が火村、アリスに纏わり付きます。
いわゆる、本格ミステリにあまり明るくない方が思い描く「本格ミステリ」とは少し趣を異にしますが(アリバイトリック。絶海の孤島。密室殺人。などといった、いかにもなガジェットとは無縁です)、本作はまぎれもない「本格」です。関係者の証言を総括してのアリバイ崩しや、トリックの解説など、本格ミステリ特有の、ある意味「面倒くさい」作業がない分、普段ミステリをお読みにならない方も、ストーリーを追うだけで十分楽しめると思い選んでみました。
2016年に火村シリーズが実写ドラマ化された際にも、第一話として選ばれた本作。単行本では、表題作を含む全六作で構成されています。どれも独立した短編、中編ですので、どの作品からでも楽しめます。
それでは、「ネタバレありレビュー」でまたお会いしましょう。
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