ゆびきりげんまん(300字SS)

 ゆびきりげんまん うそついたら はりせんぼん のーます

 ゆびきった!


 *


 子供の頃に幾度となく交わした約束の、締めは必ずコレだった。

 小指を絡めるまでは同じ。相方は指輪を差し出してきた。

「約束の印」

 笑顔が悪戯っ子のものだったことには気付いていた。


 *


「約束あるんじゃない?」

「君の方が大事」

 言って傾けたカクテルは、知らぬ間に無数の針に変わっていた。


「スマホの電源、切って良いの?」

「無粋だろ」

 持ち上げたペットボトルには針がぎっしり詰まっていた。


 *


 ゆびきりげんまん うそついたら はりせんぼん のーます


 タブレットを持ち上げて、相方は笑い、唄う。

 指が画面をタップする。

 ペットボトルの針が輝き、元のお茶に戻っていく。


 ゆびきった!

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