屍体性愛と異性愛

第1話






寝てる彼の頬を、撫でる。


そんな俺の姿が穏やかに見えるのは、見た目だけ。

そんな事、俺が一番よく知っている。



「…ん、あ。おはよ」


「お、おはよう」



彼――みつるが、目を開けた。

俺は、慌てて手を後ろに隠す。


俺に撫でられていた事は解る筈なのに、みつるは何も思わないらしく。

にこにことしたまま、上体を起こした。



「そろそろ準備しなくちゃ、学校に遅れるね」


「…そうだな」


「智も朝ご飯、何か食べる?」


「要らない」


「身体もたないよ?」


「…でも」


「昨日のカレー食べるよ。俺んちに来た時は、何か食って行こう」



そう決めては、さっさか台所に向かうみつる。

譲らないなら、聞かなきゃ良いのにな。

俺は、思わず小さく笑った。


起きた瞬間から、走れるタイプのみつる。

俺には全く理解不能。

未だに動けない俺は、ベッドの上で、ぼーっとしている。



毎週末、みつるの所に泊まるのが、日課になりつつあって。

そして、今日みたいに月曜日には、一緒に登校。


周りからも、仲が良いと言われる俺ら。

こんなにつるんでいる男同士は、珍しいらしい。

当たり前だ。

だって、友だちじゃねーもん。






俺がみつるに向けている感情は、友だちのそれじゃねーもん。







一緒に居るうちに、俺だけが友情を超えて。

でも、彼が俺に向けている感情は、友情で。

そんな事、痛い程よく解るから。

想いを伝える事も無く、俺はみつるにくっ付いている。


俺が自分の事を好きだなんて、あいつは思いもしないんだろうな。

そしてそれだけじゃなく、最悪な事に俺は






眠って動かない、屍体の様なその姿に欲情してしまっている。







動かない、目を閉じてる。

死んでるみたいで。



そんな彼を犯したくて、堪らなかった。






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