第34話 召喚者達

「ふふ・・涼しくて気持ち良いです」


 シンノが上機嫌で身を弾ませる。

 ルナトゥーラの町にいる。

 ルナリア学園都市に比べれば小さいし華やかさも無い。焼いた白土を積み上げて造った2階建ての家がなだらかに起伏する道の左右にぽつりぽつりと建っている。家の間には庭があり、菜園になっている家もあった。町の中央には大きな樹が一本聳え立ち、下方にある枝には色とりどりの布が掛けられていた。

 木の柵がある他は、家と家の間には塀が無い。それでいて、道は白土の煉瓦で綺麗に整備され、各家と道の間にはルナリアでも珍しい側溝があって、そこも、煉瓦で固めてあった。

 町には城壁も、防塁すらも無い。

 どこかの村のような長閑さである。

 それでも、広々とした町の住人が集まれば5000人ほどになるらしい。

 ちなみに、ルナトゥーラの国全体の総人口は、鉱山に住み暮らす鉱山人、山岳部に住んでいる者達を合わせても、3万人に届くかどうかという数なんだそうだ。

 ずいぶんと小さな国だった。

 ただ、国土はそれなりに広い。

 大陸図で見ても、隣の沿海州諸侯国の倍以上はあるだろう。

 この王が住んでいる国都と同じように、一カ所に集まるでも無く、山岳地や洞窟など、人々は自分達の好きな場所に住み暮らしているらしい。

 周辺諸国が攻め込めば簡単に陥落しそうだが、踏み入れば高山病必至の高地しかない土地にわざわざ押し寄せる軍勢はいない。払う犠牲に対して、得られる物が少なすぎるのだ。

 せいぜいが土地の者を掠って行くくらいなのだが、影衆という存在がそれを許さない。上手くやれたとしても、かならず犯人を突き止めて徹底した報復が行われるのだ。

 夜盗、山賊達はもちろん、ある程度の組織だった奴隷狩りをやる奴隷商も、ルナトゥーラに積極的に関わろうとはしなかった。


「あっちは、何かのお店でしょうか?」


 木の柵の上をぴょんぴょんと弾むように歩きながら、他の家より大きな煙突がある家屋を指さした。

 丁度、二つの道が交差する場所にあって、軒下に小さな銅板の看板が出ていた。


「良い匂いだな」


 トリアンはほんのりと甘い香りに眼を細めた。


「お菓子でしょうか?」


 シンノが身軽く宙返りをしてトリアンの横へ降り立つ。襟のある真っ白い上衣に、青い膝丈の乗馬用スカート、黒革のサンダル。肩に羽織るような丈の短いマントを羽織っている。ルナリア学園の制服姿だった。胸元には紅玉の首飾りが揺れている。

 今日も、銀毛の尻尾はふわふわである。


「覗いてみようか」


 トリアンは傍らのシンノを見た。


「はい!」


 シンノが笑顔で頷いた。

 先ほどは乾物屋を覗いてきた。兄弟姉妹でやっているという大きな店で、山や川で採れる山菜や木の実など多くの種類が並べられて眼にも楽しかった。

 今度の店は何を売っているのだろうか。

 二人して並んで歩きながら店の前に近づくと、小さな女の子が軒先に出した植木鉢に水をやっていた。


「お早う」


 驚かさないように、離れたところから声を掛けてみる。

 振り向いた女の子は5歳前後だろうか。ちょっと驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になりながら店の中に駆け込んで行った。虫歯でもあったのか、前歯が一本抜けていたようだ。

 どうやら、色々な食べ物を売っている店のようだ。

 作ると時間のかかる、燻製の肉や魚、色々な種類の焼き菓子からパンまで棚に並んでいた。幾つかには名前の書かれた札がついている。前日などに依頼してあるのだろう。

 燻製も木の種類を変えて、薫りの違う物が置いてある。

 ずいぶんと繊細な仕事がしてある。

 そう思って見ていると、


「いらっしゃい」


 女の子に手を引かれるようにして、背の高い女が奥から出てきた。


「あらまあ、指南役に助役さんじゃない」


 驚いた声をあげる女に会釈をしつつ、


「この先、食堂のようなところはあるのかな?」


 トリアンは訊ねた。

 あまり密な所の無い町である。食事はそれぞれ家庭で済ませるだろうし、元々、旅人など少ない土地だから食堂など無いかもしれない。


「王様のところにありますよ。うちも燻製とか卸してるからお勧めします」


 女が笑顔で言った。


「なら、焼き菓子を買って行こう」


 トリアンはシンノを見た。

 すでに選んでいたらしいシンノが迷わず中ほどの棚を指さした。

 白っぽい色をした焼き菓子の表面に赤い色の木の実が一つずつ埋めてある。


「じゃあ、上のこれ・・5枚ずつ貰おう」


「別々に包みますか?」


「一緒で良いです」


 シンノが小さな巾着袋を片手に言う。


「おいくらですか?」


「・・お代を貰っても良いのかしら」


「助役命令ですよ」


「あはは・・そりゃあ、従わないとね」


 女が明るく笑いながら少額を告げた。シンノが巾着から小さな長方形の銀貨を摘まみ出して手渡す。


「また寄ってくださいね」


 女に見送られて店を出ると、眩い陽光に手をかざしながら小道を歩いて行く。

 西の空を鳥にしては大きな飛影が幾つか連なって飛んでいた。

 この町自体が雲の上である。澄み切った空はどこまでも見渡せるようだった。


「あそこ、何でしょう?」


 シンノが指さしたのは、半円状の壁に囲まれたような施設である。


「舞台・・かな?」


 トリアンは石造りの施設を眺めながら呟いた。

 何人か施設の周りで地面から何かを拾っているように見える。

 小道を下って行くと、すぐに気づいた人が手をあげた。


「戦士の人達ですね」


 シンノが笑顔で手を振り返す。

 どうやら雑草を抜いていたらしい男女が笑顔で会釈をする。


「演劇とかする所です?」


 シンノが石造りの施設を見回しながら訪ねた。


「いえ、転移の門なのだそうです。とは言っても、使われたところを見たことが無いのですが・・」


 若い男が抜いた雑草を籠に放りながら言った。


「転移門?魔導の施設なのか?」


 トリアンは近くに居た背の高い女に訊いた。ここの女性は、ほとんどがトリアンより背丈がある。


「そうだと伝え聞いているだけで、誰も見たことが無いんですけどね」


 女が笑った。


「ふうん・・」


 シンノが舞台の周囲を見て回りながら首を傾げている。


「どうだ?」


 トリアンは足下の地面に手を着きながら訊いた。魔力の溜まりのようなものは感じられ無い。


「これは出口ですね」


 シンノが答えた。


「出口・・ですか?」


 女がシンノに訊いた。


「はい。どこかにある転移門の対になっているんです。向こうから、こっちに飛んでくる仕掛けです」


「・・こちらからは?」


「ここからは無理です。もしかしたら、別の場所に転移門の入り口があるんじゃないですか?」


「・・あるかもしれないですね。これとは違いますが、昔の人が遺した建物が結構残っているんですよ」


 若い男が山々の頂を見回すようにして言った。


「何か伝承が?」


「さあ、王様のところの長老衆くらいしか知らないんじゃないかな?」


 男が女の顔を見た。


「多分ね・・でも、ちゃんと転移門だったんですね」


 女が白亜の舞台を見て小さく笑った。

 この周囲は子供の遊び場になっているらしく、小さな落書きも残っていた。


「・・あら?」


 女の笑顔が消えた。

 舞台上に淡い光が集まり始め、円形の魔導模様を生み出して始めた。


「師匠?」


 シンノがトリアンを振り返った。


「おれは何もしてないぞ?」


「じゃあ・・」


 シンノが身軽く跳び退って舞台から距離を取った。

 掃除をしていた男女も雑草を入れた籠を置いて静かに見守る。どちらも、トリアンとシンノの訓練を受けた戦士である。

 四人が見守る前で、舞台上に淡い光の柱が降り立った。


「む・・」


 トリアンの眉根がわずかに寄った。

 非常に大きな魔力の塊が次々に光の中から転移をして出現していた。


(カイナード法国?・・それにしては)


 魔力が大きすぎる。闘技大会で見かけた連中よりも大きい魔力量を持った者達だった。


(どこの兵士だ?)


 黒い揃いの衣服を着た少年が二人に、黒っぽい上着に灰色のスカートをはいた少女が一人・・。

 武器は持っていないようだった。

 少年と少女が一人の少年を左右から支えていた。支えられている少年は背中から大量の出血をしているようだ。

 転移門に注がれていた光柱が静かに消え始めた。


(もう一人来るな)


 トリアンは消えかかった光柱を見つめた。


「逃がさないよぉ、ウサギちゃ~ん」


 妙な事を口走りながら、最後の一人が姿を現した。こちらも、他の少年と同じ黒服を着ていた。この中では一番上背があるだろうか。


「ありゃぁ、これってどうやって帰んだ?」


 最後に出てきた少年が光の消えた舞台上を見回しながらぼやいた。


「セザキ・・」


 出血して支えられている少年が呻くように名を呼んだ。


「おおっと、呼び捨て来ちゃいましたぁ~?糞ステ代表ちゃん、ずいぶんと偉そうでちゅねぇ?」


 おどけた様子で言いながら、次の瞬間、出血している少年の脇腹を蹴りつけていた。

 その蹴り足を、脇で支えていた少女が素手で打ち払っていた。内から外へ、流れるように払ったのは力では無く、素手で戦うための技だろう。


「けぇっ・・トウドウちゃんってば可愛く無いねぇ~」


 少年がにやつきながら、右手を頭上に掲げた。その手に一抱えほどの炎球が生み出される。


「おれら、そいつら屑ステちゃんには興味ねぇのよ。トウドウちゃんがおれの為にお股を開いてくれりゃ満足なわけ。みんなハッピィ、だれも死にませぇ~ん」


「ふ・・ふざけるな!」


 眼鏡をかけた小柄な少年が声をあげた。


「ああぁ、最底辺の僕ちゃんが何か言ってるぅ~」


 少年が片手で顔を覆って仰け反りながら、右手の炎球を三人めがけて撃ち放った。

 危うく跳び離れて逃れた三人だったが、眼鏡の少年と出血している少年の衣服に炎が移っていた。少女が火傷をするのも構わず、支えている少年に燃え移った炎を叩いて消している。

 横で甲高い悲鳴をあげながら転がる眼鏡の少年が、二発目の炎球を全身に浴びて燃え上がった。


「サトウくん!?」


 少女が悲痛な叫びをあげた。


「ああぁん、サトウくんは死んじゃいましたぁ~」


 炎球を片手に、少年がおどけたように言って、残る少年少女を覗き込んだ。


「どうしよっかぁ?トウドウちゃぁ~ん」


「くっ・・」


「お股拡げちゃう?ほら・・おれって炎精霊の契約者よぉ?結構な高ステよ?楽しんじゃいなよぉ~」


「ふざけるな!」


「はぁぁぁぁ・・しょうがないねぇ、我慢強く説得したのにねぇ・・」


 少年の手の中で、炎球が形を変えて、細長い槍のようになった。


「よ、よせっ!」


 少女が出血している少年を庇って動こうとした。その足首を炎槍が貫いてた。


「ぅあぁぁぁ」


 少女が悲鳴をあげて身を強ばらせた。右足の足首から先が炭化して崩れ去っていた。


「あっ、ごめんよぉ・・手元狂っちゃったわぁ。じゃ、次ね」


 今度は、出血している少年の両脚を炎槍で突き刺して灰に変える。

 苦悶の声をあげてのたうつ少年を、少女がなんとか庇おうと前に出るが、


「おっと」


 その少女の左足が膝下から燃え上がった。


「いやぁ、トウドウちゃん、健気っすわぁ~」


 少女の苦悶の叫びを聞きながら、少年が愉悦の嗤い声をあげていた。

 嗤いながら、炎槍を連続して放ち、舞台に倒れ込んだ少年の両手を焼き払った。聴くに堪えない絶叫があがる。


「あはぁ・・もう、お手々が無くなっちゃいましたぁ~」


「は、ハヤシくん・・」


 必死の形相で、少女が這い寄ろうとする。

 次の瞬間、炎槍を握った少年が舞台から消え去り、少し離れた石壁にぶつかって染みになっていた。

 トリアンの拳による一撃である。


「事情は知らんが・・」


 呟きながら、トリアンは神光で少年少女を包み込んだ。黄金色の光の中で、失った腕や足が元通りに再生し、焼死しかけていた眼鏡の少年までが蘇生する。

 少女が呆けたように座り込んでトリアンを見上げていた。


「かみ・・さま?」


 掠れ声で呟きながら少女が気を失って倒れ伏した。


「さすが師匠です」


 シンノが頼もしげにトリアンを見上げる。

 その時、


「け・・ケモミミィ~~!」


 眼鏡の少年が絶叫を放ってシンノめがけて抱きつこうとした。

 銀光一閃、尻尾の一撃で消し飛んで、とりあえず皆の視界からは排除された。破砕された眼鏡が地面に落ちて哀しい音を立てた。


「こいつら、どこの国の奴らか分かるか?」


 トリアンはルナトゥーラ人の男女に訊ねた。


(まあ、二郎の記憶にある日本の高校生のようだけどな・・)


 どこかの国に召喚されたのだろうか。


「初めて見る装束です。名前の響きも妙でした」


「この二人をサイリの所まで運んで今の出来事の説明をして貰えるか?」


「畏まりました」


 二人がそれぞれ一人ずつ抱きかかえて、国王の屋敷がある方へと走り去っていった。


「サイリを待とう」


「はい」


 トリアンとシンノは転移の舞台に上るための石段に腰を下ろした。

 そこで焼き菓子を包んだ包みを拡げて、それぞれ選んだお菓子を口にする。

 噛む前に、ホロッ・・と口中で崩れた。


「ん・・もう少し硬いかと思った」


「甘くて美味しいです」


 シンノが眼を細める。

 少しトリアンにはくどく感じる甘さだ。セッタン茶という苦みのあるお茶が合いそうだった。

 術符から、碾いた茶葉と水を取り出して茶器に入れるとシンノを見た。

 シンノがちらと茶器に眼を向ける。

 それだけで、茶器の水が湯になっていた。舞った茶葉が沈むのを待ってから、湯飲みを二つ置いてそれぞれに注いでみる。

 微かに渋みのある香りの強いお茶だった。


「・・合うな」


 トリアンは満足げに頷いた。

 すかさず、シンノが自分の湯飲みを取って口に含んだ。


「むぅ・・わたしには、ちょっと渋めです。トックル茶をください」


「分かった」


 トリアンは果肉の茶と茶器を取り出して置いた。すぐさま湯を注いでお茶を煎れると、シンノが甘酸っぱい香りを楽しみながら口に含む。

 その時、


「指南役」


 サイリを筆頭に5人の影衆が現れて地に片膝を着いて低頭した。


「聴いたか?」


「はっ」


「前後の事情は知らないが、この舞台を封じた方が良いと思うがどうだろう?」


「お願い致します」


「よし・・」


 トリアンは立ち上がった。シンノが焼き菓子の包みと茶器を手にぴょんと跳び離れる。

 直後に、舞台の奥底で何かが消え去った。

 トリアンの従者であるスイレンが、転移先の目印として情報を記録した魔石を収納したのだった。


「・・あの者、強者のような口ぶりだったと二人が申しておりましたが?」


 サイリが壁の汚れセザキを見ながら訊いた。


「魔法・・魔力量だけなら、それなりだった」


「ルナリア学園でも、あんな魔力量の人はいませんでしたよ」


 シンノが言った。


「それほどですか・・」


「転移で逃げ出した側と転移で追いかけてきた側といった会話だった」


「目覚めたら事情を訊いてみます。それから、こちらへ参る途中、同じような装束の者を拾いましたが、あれはどちら側でしょうか?」


 眼鏡の少年だろう。


「逃げてきた側だと思うが・・」


 トリアンが状況を説明しようとすると、


「変質者です。隔離して、女性との接触は控えるべきです」


 シンノが厳しく切り捨てた。トリアンは何か言いかけて苦笑気味に口を噤んだ。


「承知しました。では、あの者は独房に隔離致します」


 サイリが請け負った。

 一人の少年の住居が定まった瞬間であった。


「女の人は、トウドウ。一緒に居た男の人はハヤシ。変質者はサトウです」


 シンノが伝える。


「トウドウ、ハヤシ、サトウですね」


 影衆が頷き、風を巻くようにして去って行った。


「転移門が使われたのは久しぶりなのか?」


 トリアンはシンノを促して歩きながらサイリに訊ねた。


「はい。長老方の話でも、800年ほど前に、森の民が訪れた時に使用されたのが最後だったと」


「送り側は、森の民・・その国だか町だかにあるという事か」


「今でこそ、この辺りはルナトゥーラという国として纏まっておりますが、以前は我々角付きと鉱山人とで争いが頻発していたようで、双方とも親交のあった妖精の民に仲裁を頼んだようです。ところが、せっかく仲裁をしてもらって争いが収まったかに見えても、またすぐに争い始めるようなことを繰り返し、とうとう頭にきた森の民の王が設置したのが、この転移門だったと伝承されております。即座に現れて、喧嘩の当事者を氷漬けにして帰って行ったとか」


「・・なるほど」


 転移門の使い道として、とても正しい気がする。


「今は喧嘩はしないんですか?」


 シンノが訊いた。


「ええ・・元々、勢力争いといった性質のものではなくて、聴いてて恥ずかしくなるような事を競い合った末の喧嘩騒動だったのです。当事者以外にはどうでも良いような事でした」


「王妃は鉱山人だろう?」


 トリアンは訊ねた。


「お気づきでしたか。その通りです。いえ、習わしや仕来りでは無く、今代はたまたま、そういうことになっています。ただ、象徴的ではありますよね」


 サイリが微笑んだ。


「あの二人も、よく喧嘩をやっていて、いよいよ妖精の民に仲裁を頼まなければならないんじゃないかと周囲は心配したほどでしたけど・・」


「過去の事は知らないが、穏やかで良い町だと思う」


 トリアンは疎らに点在する家々を眺めやりながら呟いた。


「何よりのお言葉です」


 サイリと影衆達が表情を明るくした。


「それで、他には封じるべき転移門は無いのか?」


「送り側の門はある・・あったのですが、使い方を研究する段階で壊してしまいまして、他には無いだろうと思います」


 サイリが答えながら影衆を振り返った。どの影衆も他には知らないようだった。


「そうか」


 トリアンは小さく頷いて、


「無理を言うようだが、町外れで良いから空き家を一軒売って貰えないか?」


 サイリに頼んだ。

 息を呑むようにして眼を大きく見開いて驚いたのも一瞬、すぐに喜色を浮かべてサイリが頷いた。


「お任せ下さい。すぐに、何軒かご紹介致します」

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