パーティパーティパーティ

壊れた窓から漏れた光


夜の一部はなんてことない顔をして月を飲み込むけど


それでも光は古城に届く


「やあ、やっと来たかい」


呟く声


軋む廊下 開くドア


迷い込め 迷い込め


お茶会へは右を曲がって


舞踏会へは二階へ登って


ほらほら パーティが始まっちゃうよ


切り落とせその耳を


潰してしまえそんな目を


そうすれば 君は君だけの世界の中で喋って踊って殴って蹴って


少女は二階に落ちました


この館に三階なんてありません


それじゃあ どこから?


一階からでも落ちれます


少女の髪は真っ赤な鮮血でベトベトです


小さな白い顔は恐怖で歪んでます


儚げな目は夜に飲まれるお月様を拝んでます


さあさあ パーティ会場はこちらです


蜘蛛の巣張った天井も


ひびの入った壁も


崩れた尖塔アーチも


割れて粉々になったステンドグラスも


大理石で出来たリヴァイアサンも


みんなあなたを待ってます


切った耳はこちらへどうぞ


潰した目玉はこちらへどうぞ


進め進め お茶会は右へ 舞踏会は二階へ


明けることのない夜へようこそ


崩れることのない廃墟へようこそ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る