エイミリア王女
「勇者様方、初めまして、フォルセクル王国の代表として参りました、エイミリアと申します。
よろしくお願いします」
そう言いながら俺達にペコリと頭を下げたのは、14~5歳の美少女だった。
そしてその周りには、騎士と魔法使いの様な杖を持ち、ローブを着た男達が立っていた。
そして騎士達が俺達を囲むように、他のドアからもワラワラと出てくると美少女、エイミリアは続けて言う。
「勇者様方、私達の召喚に応じて頂き、まことにありがとうございます。
まずは国王がご挨拶したいとの事なので、一緒に来ていただいてもよろしいですか?」
その気品あふれる姿に、円や梨花に弘志は「お姫様みたい……」や「綺麗な仕草だわ、かなりの教養があるみたいね?」に「可憐だ……」等と言っている。
だが俺と朝日はエイミリアの言葉に違和感を感じ、顔を見合わせている。
ちなみに香織姉は武装した騎士達に囲まれたので「み、皆!私の後ろに隠れて!」っと言ってなんとか俺達を守ろうとしてくれている。
何にしろ疑問を持ったのだから聞くべきだろう、朝日は様子見をしたいみたいなので俺が一歩前に出てエイミリアに疑問をぶつける。
「ちょっと待ってくれ、召喚に応じたって、なんの事だよ!?
お前らが無理やり連れてきたんだろ!?」
俺の言葉に近くに居た騎士が
「おのれ!王女様に対して無礼な!?」
なんて言っている、ってか、やっぱりこの人が王女様か。
そんな事を考えながら王女様を見ていると、王女のエイミリアの顔がみるみる青ざめて、隣に居る魔法使いみたいなおっさんに何か話しかけている。
おっさんも真っ青になりながら、水晶球のついたタブレットをしきりに操作して俺達に向けていたが、何かを確認してエイミリアに告げると、彼女は震えながらこう言ってきた。
「み、皆様。
ステータスオープンとおっしゃってもらえませんか?」
またテンプレな……っと思っていたが、朝日達や香織姉は素直に「ステータスオープン」と言って驚いている。
そんな俺達にエイミリアが
「色々見えていると思いますが、称号をお教えしてもらえませんか?」
っと聞いてくるので、朝日達が驚きながらも順場に答える。
「召喚されし異世界の勇者だ……」
「バトルマスターだぜ!」
「……聖騎士ね」
「大魔導師ってなってますね?」
そんな中で香織姉だけが困惑して答える。
「賢者です。
が、巻き込まれた異世界の賢者、っとなってますね」
エイミリア達はホッとした表情だったが、香織姉の言葉に顔をまたも青くする、そして俺を見て俺の称号が何なのか答えてくれと視線で訴えてきたので答える。
だが俺は自分のステータスと称号を見て思わず叫んでしまった。
「ああ、ステータスオープン……って、なんじゃこりゃ!?」
「ふぇ!?」
俺の叫びにエイミリアが可愛い悲鳴をあげる、隣に居た騎士は剣を抜き王女の前に出てるが、魔法使いや朝日達は驚いている。
「ど、どうした星司?」
「い、いや、ちょっと待ってくれ、このステータスって、消せるのか?」
俺は弘志の問いに答えずにエイミリアに質問する。
「は、はい、クローズと言っていただくと消えますが?」
エイミリアがそう教えてくれたので、俺は何度もステータスオープンとクローズを繰り返す。
そんな俺を全員が戸惑い見つめていたが、俺は繰り返すのを止めてエイミリアの横に居る騎士と魔法使いに問いかける。
「……なあ、この世界でステータスの平均って分かるか?」
「う、うむ、騎士や魔導師で平均が1000位だな。
魔導師だと魔力等が高いが、平均は変わらないと思ってもらって構わんぞ?」
俺はその言葉に天をあおぎ、呆然となる。
俺のその姿に朝日達だけでなく、エイミリアや騎士達も驚き戸惑っていたが、魔法使いのおっさんが声をかけてくる。
「勇者殿、ステータスが多少低くても、問題ありませんぞ?
称号を持つ勇者殿なら、経験を積めばあっという間に1000なぞ越えますからな?」
魔法使いのおっさんの優しさに泣きそうになりながら、俺の平均ステータスを教えてやる。
「平均が……10ちょっと位しか無いんだよ……」
「……はぁ?」
「へ?」
「そ、そんなバカな……」
反応は様々で、心情も心配してやバカにしてと両極端だ、ちなみに朝日達やエイミリア王女と側に居た騎士と魔法使いは心配して。
それ以外の騎士達はバカにしてるな、笑ってる奴も居るわ。
「……ステータスは仕方ないにしろ、称号が意味が分からなすぎる。
称号はあんた等が決めているんじゃないんだろ?俺達の能力なんかで決まるのか?」
「は、はい。
あとはこの世界をお創りになった神であるハザ様の眷族神であり、現在はこの世界の最高神である女神アルレニス様の加護でもあるのですが……」
そう言って、俺に視線を向けてうながしてきたので俺の称号を教えてやる。
「俺の称号……異世界の食事係なんだけど!なんだこれ!?」
「はぁ!?」
「しょ、食事係ですか!?」
円が驚き、エイミリアが聞き返してくる。
「そ、それって、あれじゃないの?
前によく、私達にご飯作ってくれてたでしょ?
それに香織姉にはまだ作ってるんだっけ?」
「美味しいのですか?」
「プロ級よ!」
円とエイミリアが別の事で盛り上がり始めてしまいかけたので、俺は止めてもっと重要な部分を言うことにする。
「いや、円、それだけじゃないんだ……異世界の食事係の前にな?
巻き込んだ、ってついてるんだよ……」
「「……へ?」」
「……なんだそれ?」
「巻き込まれた、じゃなく。
巻き込んだ?」
「つまり……星司は誰かが、巻き込んだって事?」
俺の話を聞いて、全員が信じられないものを見る目で俺を見る、そんな中で魔法使いのおっさんが話しかけてきた。
「すいませんが勇者殿、私は筆頭宮廷魔導師のチュアートと言います。
この魔道具の水晶のところに、触れてもらえますか?」
俺は魔法使い改め、魔導師のおっさんに言われるまま、水晶に手を置くのだった。
その結果、俺のステータスは―――
名前 灰谷 星司
種族 異世界人
状態 健康
ステータス
HP 17
MP 13
STR 18
DEX 17
VIT 17
INT 15
AGI 19
MND 14
LUK -18
スキル 料理 短剣術(包丁) サバイバル術 (キャンプ) 生活魔法 召喚魔法
称号 巻き込んだ異世界の食事係
「ハハハ!運の-18ってなんだ?
笑うしかないだろこれ!?」
ちなみに朝日達は平均が楽に1000を越えていた、エイミリアのすぐ側に居た騎士が騎士団長のゴードンと言うらしいんだが、朝日の平均1500に匹敵していて、かなり強い人らしい(本人談)。
「星司殿のステータスも問題だが、やはりその称号が問題だな」
「はい、それに心ならずも誘拐してしまったのも、問題ですぞ?」
「とにかくお父様、陛下に報告しましょう。
星司様に勇者様方もよろしいですか?」
エイミリアがそう言ってこちらを見てきたので朝日を見ると、朝日はうなづきながら俺達に言う。
「……このままここに居ても、意味がないか。
皆、とりあえず彼女に着いていこう」
「そうだな、香織姉達もそれで良いだろ?」
「あなた達、楽しそうだけど帰れるなら直ぐに帰りますからね?」
朝日と弘志がどこかワクワクしながら提案したのを見抜いた香織姉に、釘を刺された2人だが、提案事態は賛成のようで香織姉達もエイミリアの方に歩いていく。
そして俺も色々聞きたい事が有るので、彼女達に付いて行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます